昼と夜 善と悪『デイアンドナイト』鑑賞

父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく-。

 昨年12月に観てすごく良かった『青の帰り道』を手掛けた藤井道人監督作。主演を務める阿部進之介さんが企画・原案から携わり、山田孝之さんがプロデューサーを務めてます(彼の出演は無し)。「善と悪はどこからやってくるのか」をテーマに描いたオリジナル脚本の一作。 今年、これほど見応えある作品は出てくるのか?と思えるほど、骨太でメッセージ性の強い物語でとてもインパクトがありました。全編に渡って問われる”善と悪”。何が正しいのか、そこに正義はあるのか。

 父の自殺を機に故郷・秋田へ戻った主人公・明石(阿部進之介)は、その死が自動車メーカーのリコール隠しの告発が関係していると知る。そんな中、児童養護施設を運営する北村(安藤政信)が現れ、明石は彼に従事するように。昼は児童養護施設のシェフとして働き、夜はそこを運営してくために北村が作り上げた窃盗団員として裏稼業の日々。施設にはまもなく高校卒業となる大野奈々(清原果耶)等がいて、明石は彼女たちと接することで施設を守っていきたいという気持ちを強め、同時に父の死に対する復讐心も増していく・・・。

 DAY AND NIGHTのタイトル通りに、昼と夜、地方と都会、善と悪を極端ともいえるはっきりとした対比構成で描きます。その問いを観る者に投げかけながら物語は進みます。結局のところ、正しいの判断基準は人それぞれにあるということ。本作で描かれていますが、その人にとっての正しいが、他人には正しくないこともある。正しいは善に直結しない。その境界線はあまりにも曖昧ですが、自分たちの生きているところって、悲しいかなそういうとこ。

 大切なものを守ること。それだけは誰の価値観の中にも刷り込まれているものかもと観ていて思った(これは作品でも言及されてますが)。加えて、何があってもお金は必要であるってこともきっちり訴えてるよなあと。しかし、汚い大人の抗争という意味で終盤の明石と三宅(田中哲司)のシーンはあんな風だったのかな。逆に児童養護施設のシーンは常に光に包まれていて、綺麗に描かれていた。

 出演した俳優陣の演技は素晴らしいわけですけど、特に清原果耶ちゃん(ユリゴコロの子か)。澄んでいてもどこか陰のある感じに惹かれる。彼女の言う「嘘だよ、ロリコン」の破壊力よ(笑)

 とまあ、本作の主題歌である清原果耶ちゃんが大野奈々として歌う「気まぐれ雲(作詞作曲は野田洋次郎)」を聴きながら感想を書いてみました。僕の好きな作家・薬丸岳さんも公式サイトにコメントを寄せていますし、良い作品です。

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