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アルゴリズムで買うものと買えないもの 『冬時間のパリ』鑑賞

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敏腕編集者のアラン(ギョーム・カネ)は電子書籍ブームが押し寄せる中、なんとか時代に順応しようと努力していた。そんな中、作家で友人のレオナール(ヴァンサン・マケーニュ)から、不倫をテーマにした新作の相談を受ける。内心、彼の作風を古臭いと感じているアランだが、女優の妻・セレナ(ジュリエット・ビノシュ)の意見は正反対だった。そもそも最近、二人の仲は上手くいっていない。アランは年下のデジタル担当と不倫中で、セレナの方もレオナールの妻で政治家秘書のヴァレリー(ノラ・ハムザウィ)に内緒で、彼と秘密の関係を結んでいるのだった…。

 I田純一さんとか森Mレオさんなどが「不倫は文化、異文化交流」という名(迷)言を残しましたが、本作は主要人物の3/4が不倫している。悪びれてもいなく、そんなことあるよねえという感覚なので、日本の芸能人の叩かれ用が気の毒になるぐらい。不倫関係は本筋の肝ではあるけど、修羅場はなくて淡々と生活は続いていきます。2重生活という原題通りに表と裏があって当たり前というか。

 それよりも異なる価値観を持った人と人との会話劇が見どころ。フランスの出版業界を舞台にしており、本のデジタル化論争をずっとやる。それにたまに選挙や恋愛の話も。とはいえ、あれだけ言い合っても終わった後はごちゃごちゃしないし、憎みもしない。ドライな人間関係ってのは国境・環境の違いなんだろうと思います。

 現在進行形でずっと続くデジタル化される社会。本作は書籍業界で奮闘する姿を描くというメインテーマがあります。小説家・編集者、出版社が抱える問題をどう解決していくか。SNSのレビューやアルゴリズムによってモノを買うと言ってましたけど、確かに正しいでしょうね。でも、人々の読む・書くってのはそう変わらない気はしますし、これからもずっとそう思っています。アルゴリズムに飲み込まれるまえにアナログな体験に活路を見出すとか、考えることは多かったです。

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