女性だけのユートピアが生むロマン 『燃ゆる女の肖像』鑑賞

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画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた──。

 カンヌ国際映画祭で脚本賞&クィア・パルム賞を受賞するなど世界の映画賞を席巻し、日本でも口コミで高い評価を獲得しロングランヒットを記録しました。

 お互いの感情は、始めは静かに揺らぐ炎だったが、ある時を境にして一気に燃え上がる。相手を見ること、相手から見られること。画家とモデルの関係性であった見る・見られるは、やがて見つめ、見つめられるに変わっていく。交わる視線、それゆえの想いの増幅、情念の猛り。女性だけのユートピアが生むロマン、絵画のような美しいシーンの連続。

 それでも、時間と社会が彼女たちの関係を許さない世界に引きずりだす。別れても想い合っている2人。決して忘れられない時間と温もり。ラストシーンは鑑賞者にも選択を迫るようで苦しさを覚えた。

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