天才作曲家の最初で最後の映画作品 『最後にして最初の人類』鑑賞

孤高の天才作曲家ヨハン・ヨハンソン、人類に託した最後のメッセージ。伝説のS F小説、奇跡の映画化。1930年の初版以来、アーサー・C・クラーク(「2001年宇宙の旅」)等にも大きな影響を与えてきたS F小説の金字塔「最後にして最初の人類」が原作。20億年先の人類から語られる壮大な叙事詩である。語りかけるはアカデミー賞®️女優 ティルダ・スウィントン。全編16mmフィルム撮影された旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑〈スポメニック〉の美しい映像と、ヨハンソンが奏でるサウンドは未来と宇宙への想像力を掻き立て、観客を時空を超えた時間旅行へと誘う。

 「私たち最後の人類から伝えたいことがあります。地球年で約20億年後の未来からあなたたちに語りかけています。天文学者たちの発見によれば人類に滅亡が迫っています」

 この時点で「ちょっと何言ってるかわからない」。サンドウィッチマンの富澤さんなら映画鑑賞中に100回ぐらい言ってそう。ポストクラシカル界&映画音楽の大御所、ヨハンソン先生の遺作となる映画。前衛お芸術ということもあってかなり難解です。20億年先に存在する最後の人類からの提言。本当に何言ってるかわからない。”まだ地球あったんだ、人類は滅亡していないんだ”と環境破壊が進む世界において、まずそこに意識がいきます。

 ヨハンソン先生が監督兼作曲。亡くなる直前まで作業しており、後任の方がそれを引き継いで映画は完成にいたります。ヨハンソン先生の音楽、あのティルダ・スウィントンによる朗読という形式を取ったテレパシーによる通信、荒い画質で写される旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑〈スポメニック〉 が三位一体で迫りくる。そのメッセージは高尚なものですが、”大半は人類は取るに足らないもの””みたいな言い回しのことが多い。

 人間は一切、出てきません。20億年先の人類のメッセージだけがわたしたちをリードします。20億年先にも人間は存在しているようですが、今のこの姿・形で生存しているのでしょうか。地球に存在する大地や海はどう変わっているのでしょうか。スポメニックという記念碑を映し出す中で、この光景すらも滅びゆくものだという印象を受けます。映像インスタレーションのような趣が強い。正直、映画でドローンやアンビエントを表現すると、こんな感じかもしれません。とはいえ、ヨハンソン先生の荘厳な音楽は眠りというユートピアにも誘うし、恐怖の前衛音楽にもなっていたし、悠久の時間旅行への助力にもなり得ます。

 メッセージのひとつひとつに対して自分なりに考え、想像を膨らませても、匙を投げたくなることがほとんど。「人類に懺悔せよ」という事を言いたそうな気はしましたけどね。何よりも眠気との戦いが続く70分強(苦笑)。映画館による音響と体験が必須ではあるものの、コンディションは万全にしての鑑賞をオススメします。

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