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手紙を通して融解する心 『チィファの手紙』鑑賞

姉、チィナンが死んだ。彼女宛に届いた同窓会に出かけ、そのことを伝えようとした妹、チィファだったが、姉に間違えられた上、スピーチまでするはめに。同窓会にはチィファが憧れていたイン・チャンも来ていた。途中で帰ったチィファをチャンが追いかけ呼びとめる。チャンがチィナンに恋していたことを知っていたチィファは姉のふりを続けた。連絡先を交換するが、チャンが送ったメッセージのスマホ通知をチィファの夫が目撃し…。

 ロマンティックな、余りにロマンティックな(本年2度目)。岩井俊二監督による中国版『ラストレター』。といってもこちらの『チィファの手紙』が先の制作で、今年1月に公開された日本版の方が後だったという。

 季節の違い(夏と冬)、回想シーンが中学と高校、弟の設定変更等がありますが、ストーリー自体は90%ぐらい一緒です。娘役の二人が一人二役を演じるのもそうだし、スマホに届いた愛のメッセージに激昂してケータイぶっ壊す芸当もそうだし(これは日本版の庵野監督の方が凄かった)、でっかいワンチャン2匹もそう。

 魔界に連れていきかねないトヨエツとくたびれた感じの中山美穂は出てこないけど、中国版のその役はクズ度が増しており、「人の人生は小説なんてチャチなものに収まらねえよ」という言葉を浴びせていた。

 やっぱり本作は淡く儚い。想いは巡り、初恋も巡る。手紙を通して融解する心、交錯する過去と現在。初恋は強烈なまでに美化されるものであり、その頃の感情や想いに囚われてしまうことがある。そういった情緒的な部分が、冬の設定と役者陣の抑えた演技(日本版はドタバタコメディちっくな部分があったので)でより出ていたかなあと感じた。ストーリーがキレイに入ってきたし。

 大切な想いや言葉は、時を越えてなおも繋がっていく。死から始まり、残された者たちはどう生きていくのか。写真や映像ももちろん大事だが、言葉は残る、言葉は導くというのを強く感じさせた一作だった。『ラストレター』も共々、気にいってます。

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