時代が引き裂くもの 『17歳のウィーン』鑑賞

1937年、ナチ・ドイツとの併合に揺れるオーストリア。自然豊かなアッター湖のほとりに母親と暮らす17歳の青年フランツ (ジーモン・モルツェ) は、タバコ店の見習いとして働くためウィーンへやってきた。常連のひとりで“頭の医者”として知られるフロイト教授と懇意になったフランツは、教授から人生を楽しみ恋をするよう勧めを受ける。やがてボヘミア出身の女性アネシュカに一目惚れをし、はじめての恋に戸惑うフランツは、フロイトに助言を仰ぐ。しかし、時代は国全体を巻き込んで、激動の時を迎えようとしていた。(C)2018 epo-film, Glory Film

 ウィーン生まれの作家ローベルト・ゼーターラーの『キオスク』が原作であり、フロイト教授を演じたブルーノ・ガンツ氏の遺作。1937年、ナチスドイツとの併合に揺れるウィーンが舞台。美しい自然に囲まれたアッター湖付近に住む17歳のフランツが、父親の突然死に直面し、母の紹介でウィーンのタバコ店で見習いとして働くことになる。その店主オットーや常連客であるフロイト教授と友情に近い関係を築いていく。

 フロイト教授との度重なる人生相談の中では、恋の悩みを解消するように向かう。一目惚れしたボヘミアの娘とフランツは執念で結ばれるが、オーストリアを強大な勢力で制圧するナチスが、個々の生活ひいては人生を大きく狂わせる。この時代が引き裂くもの、それを受け入れざるを得ない17歳にはあまりにも大きい。つきつける人生の無情さ。

 合間に挟まれるフランツの寝ているときの夢(主に欲望や願望)が、差別や戦時下の過酷さを色濃くしていく作品の中でファンタジックな印象を与えている。だからか、内容的には大人の階段を登っている少年の青春譚に収まっているのが良い。そして、ラストシーンはなかなか堪えるものがあった。

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