2004年1月~2017年7月まで13年間、音楽サイトとして運用。4年ぶりに形を変え、2021年6月より再始動。

重々しい衝撃と至上の解放感 Presence of Soul『All Creation Mourns』

 Yukiやyoshiを中心としたポストロック系バンド。ソロ期間もあるが、01年からメンバーチェンジを繰り返しながら国内外を問わずに活動を続けている。08年にはAnekdotenの来日公演サポートを務めた経験もあり。彼女たちの約7年ぶりとなる2015年10月発表の3rdアルバム。フランスのLes Tenebres Recordsからのリリースとなり、アナログと配信での販売となっている。ミックス・エンジニアは前作に引き続いて、ゆらゆら帝国やBorisなどを手がける中村宗一郎氏が担当

 実際に彼等の作品は本作で初めて聴きます(試聴ぐらいはあるが)。以前はここまでヘヴィではなかったそうですが、メンバー変更が転機になったのか、本作における重音製造兵器ぶりに参りました。ドゥーム/ポストメタル系統のえげつない重低音が轟き、持ち味のシューゲイザーの幻想性をプラス。音像はYear Of No Light辺りを髣髴とさせますが(#4「Genom」は特にそう感じる)、女性ヴォーカル・yukiのささやくような声が加わる分、特有のサウンドとなっています。これぞ新PoSシステム的な。時にはポストメタル色の強いGY!BEっぽい印象を受けたりもする。

 終盤の破格の音圧に頭真っ白になる#2「The man who leads the mad horse」、姑の嫁いびりの如しドゥーミーなリフの反復で漆黒の彼方へ向かう#5「Teaching of necessary evil」と闇エネルギーを拡散。おそらく彼等の変化を物語るような楽曲だと思うが、この深い影を落としたヘヴィネスにのたうち回ることでしょう。圧殺という言葉を使いたくなったりしますしね。

 それでもダーク・ソング集で気持ちが沈み続けるわけではない。理由としては、#3「You’ll come to the apocalypse at last 」や#7「Beyond the forest of realization」~#8「Circulation」といった楽曲が、イケナイ引き金を引く前に救済を与えるからでしょう。退廃的で物憂げな雰囲気はありますが、Lauraのメンバーを含むゲスト陣によるストリングス隊が参加して描く、壮大な希望がキーとなる。特に#8の中盤からラストにかけての優美な音の渦、それに付帯するカタルシスは絶品だなと。Yukiさんのヴォーカルも女神のような慈愛に満ちた歌で音響に寄り添い、作品の明度を高めています。この世の果てへの使者から天使へのその豹変ぶりがまた情緒・深みへと繋がっている。

 元々のサウンドを重くタフにビルドアップしたことで、バンドとしてひとつの殻を破った作品になったのではないでしょうか。脳味噌が塗りつぶされたり、至上の解放感を味わったりと様々な衝撃をもたらすだろう本作からは、7年かけて磨き直した個性が光っている。ちなみに本作はBandcampで購入したのですが、アナログ盤限定でインスト曲「Genom」にwombscapeのRyo氏(Vo)がゲスト参加した特別Verが聴けるそう。

コロナ禍に突入して以降に発表された「Circulation」のライヴ映像。UPされて以降、2020年後半、2021年と何度なく拝見しています。自分にとって大切な曲というのもありますが、この曲を聴いて救われている部分が多々ある。

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