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耽美に編まれた音像 THE NOVEMBERS『Rhapsody in beauty』

 東京を拠点に活動する日本のオルタナティヴ・ロックバンド4人組、約1年ぶりとなる2014年発表の5thフルアルバム。リリース前月にはBorisのツアーに帯同していて、その時のパフォーマンスが非常に印象的でありましたが、本作を聴いて改めてBorisとの親和性の高さを感じさせます。

 軽く試聴してみた人間の五感を狂わせる暗鬱な轟音ノイズ#1「救世なき巣」から驚き。完全に意表を突いたところで、ささくれ立ったロックンロール#2「Strum und Drang」や#4「Blood Music. 1985」といった曲で衝動を送り込み、グロッケンや柔らかいギターで綴る#5「tu m’」でソフトに包み込む。ここまでの5曲だけでも幅広い音楽性を持つことが伺えます。

 普遍的なロックを基点に、オルタナ、ポストパンク、シューゲイザー、ポストロック、エレクトロニカ、アンビエント、そしてヴィジュアル系に至るまでの様々な影響下のもとで、NOVEMBERS流に再編。その耽美にまとめられた音像は、とても刺激的でロマンティックです。様々な音楽ジャンルの通訳者として、彼等もまた独自の存在感を放っているといえます。

 完全にMBVイズムが染み込んだ表題曲#6「Rhapsody in beauty」からの後半も充実の内容で、あらゆる方面からの刺激を約束。ロックの疾走感と轟音ギターで昂揚感を増幅する#7「236745981」、ややアンビエント寄りでありながらも民族的なリズムと意思の強い歌が乗せられた#9「Romance」とその多彩さと表現力の巧みさが冴え渡っています。最後は、現実に戻されるように選びぬかれた音と言葉だけが静かに胸を刺す#10「僕らはなんだったんだろう」で、名残惜しそうな締めくくり。

 ロマンティックな甘い感傷も稲妻の如き激しさも病み付きになる毒性も携えながら、極彩色の世界を描く本作は、確実に相手の心を捉える。絶妙な逸品。

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