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ハードコアをアートへと昇華する気概と音 wombscape『新世界標本』

 東京を拠点に活動するポストハードコア4人組の完全自主制作の1stミニアルバム。前回のデモ作が五輪1回分の4年前だから、ずいぶんと時を経てのリリース。端的に説明すれば、作詞作曲からアートワークと手掛けるVo.Ryo氏の脳内世界の具現化だが、興味深い作品となっている。

 音楽的にこれまでの延長上にある感じと捉えている。その上で混沌具合に拍車がかかってるなあというのが第一印象。暴・狂・変・美・快・奇・哀・悲・愛が様々に交錯しながら全7曲約24分をかけた『新世界標本』の創生。その全てに意味があり、その全てに表現者としての感情が宿る。無軌道な暴走で病的かつスリリングな衝動をもたらす#3「真っ白な狂気」、本作中で最も混沌とした表題曲#4「新世界標本」など強烈な楽曲を核にして作品は進められていく。ただ、この1ページ1ページをめくるにつれて五感に重く響いてきます。

 かつてのデモ音源と比較するならば、俯瞰した視点で作品を描いているかなあという感じを受けるでしょうか。怒りと激しさにエネルギーに力を注ぐ形から、美的表現の洗練。ただひたすらにドラマティックな#6「正しい愛が正しい絶望に変わるまで」なんて、彼等からこんな曲が生まれてくるとは思いもしなかった裏切りの1曲でしょう。そこからさらに静謐な表現で余韻を残す#7「叙文」も驚き。しかし、これらが1本の線として繋がってひとつの物語を成す。その複雑で奥深い表現は十二分に個性的であるなあと。

 Converge以降の一大事業であるハードコアをアートへと昇華するという作業に、このバンドも挑んでいると勝手ながら思っています。それでも、『新世界標本』という大それたタイトルは聴いてると妙に納得する。「ざまぁみろセカイ、震源地はここだ」と言わんばかりの主張が存分に表れている作品かと思います。

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