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暗黒の秘境を巡るような感覚 Jambinai『Differance』

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 エクスペリメンタル・ミュージックを奏でる韓国の3人組(2021年現在は5人編成となっています)。韓国伝統音楽の「国楽」をポストロックやメタルと融合させながら、個性的なサウンドを提示。その音楽性が評価されてSXSWへの出演、Glastonbury Festivalを始めとした世界各地のフェス出演なども果たしています。

 そんな彼らの2012年発表の1stアルバムが、2ndアルバムをリリースしたBella Unionから2017年2月に再発されました。韓国伝統楽器を組み合わせたことでインスト・ミュージックの広域化に成功。大学内で専攻した韓国伝統音楽やポストロックをベースにしながらも、オルタナ・サウンドやスラッシュメタルの要素を交錯させ、異様な緊張感が漂う不穏なムードを創り上げています。本作においては全体の印象を言えば、静けさに重きが置かれているように感じますが、エキゾチックで妖しい色味がここぞとばかりに放たれるのです。

 玄琴(コムンゴ)と奚琴(ヘグム)の強烈な磁場に轟音ギターが絡む#1「Time of Extinction」、ヘヴィメタルの推進力にSwansのような実験精神が重なり合う#6「Hand of Redemption」など特別な爆発力のある楽曲を揃える。一方で組曲形式の#4~#5「Paramita」や#7~#8「Empty Pupil」は静かになり過ぎるきらいがありますが、展開していくに連れて暗黒の秘境を巡るような感覚をもたらします。そして、本作においてはラストを飾る#9「Connection」が白眉。徐々にオーケストラのような壮大さで希望を奏でていくのは感動的です。

 2nd→1stの順に聴いていることもあって、音楽的に大きな飛躍と拡大を遂げた2ndアルバム『A Hermitage』に軍配は上がります。ただ、初作にしてこれほどに独自性を持った作品を創り上げたのは驚き。その衝撃は全世界に波及し、世界各地の音楽フェスティバルに出演し、名を馳せていくことになるわけです。

2018年平昌オリンピックの閉会式で演奏するぐらいに彼らはすごいのです。

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