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初作にして感動渦巻くインストゥルメンタル OVUM『microcosmos』

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 2007年5月に発売したEP「Under the Lost Sky」で注目を集めた日本のインストゥルメンタル・ロックバンド、OVUMの待望の1stフルアルバム。

 1stにして7曲60分に及ぶ大作(3曲が10分越え)。デビュー作にも関わらず初心者に対して全く優しくない、ポストロック好きが好みそうな作風。近い印象で言えばMogwaiやMONOになるけれど、動と静による対比のアプローチはやや抑え目で、流麗なアルペジオやクリアな音色を多用している印象。それ故にパンチ力ではやや欠けるかもしれないが、確実に感動へと導くストーリー展開は新人らしからぬものです。

 完璧主義ともいえる内容で全体的にやや冗長的に感じるところもあるが、全7曲に聴き手を揺さぶる真摯な物語が存在し、どの楽曲も惹きつける魅力を持っています。特に10分を越える#1、#4、#7はいずれもが心に焼きつくような鮮烈な感動が詰まった楽曲。ツインギターは物悲しくも優しいドラマを描き、リズム隊が柔らかな質感を与えています。個人的に#7「Astral」はMONOを思わすぐらいの感動渦巻くストーリー展開で非常に心を打たれました。

 聴いた後には胸に強く込みあがってくるものがあり、この手の音楽を好む人に対してアピールするには十分なデビュー作。個人的には職人が様々な技巧を凝らして丹精に描いた明媚な風景画のように感じた作品でありました。

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