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ポストロック名盤中の名盤 toe『the book about my idle plot on a vague anxiety』

国内インストゥルメンタルロックの代名詞と呼ばれるまでになった、ポストロック・スタンダード、toe待望のファーストアルバム。エモーショナルでメロウなツインギター、シンプルなバンドサウンドを支えるベース、そして特筆すべき、今字ネイション豊かで唄うドラミングはtoeサウンドの核として今作も健在です。数多くのフォロワーを生み出し、比較されるアーティストとは異なるベクトルとオリジナリティーを確立した、エモーショナルフィール溢れるインストゥルメンタル・ロック。2005年リリース。

   ポストロックを語る上では欠かせない名盤1stアルバム。クソ長いタイトルは、略すと“漠然とした不安の上にある私の下らない企みに関する本”という意。確かに本作はトータルで全11曲約40分程なのに、何百ページもある濃密な本のような深みを感じます。とはいえ、そんな細かいことにこだわらずにこの音に身を任せているだけで心地よい。

 鮮やかで煌びやかなメロディを奏でるツインギター、数奇を凝らし楽曲に様々な表情をつけていく手数の多い技巧派のドラム、それらの音を優しく繋ぐ柔らかなベース。インストながらも、各楽器が有機的に結びついて歌心のあるサウンドを奏でているのが大きな特徴でしょう。ここには90年代エモを思わせる哀愁や風情あるメロディが盛り込まれ、スリリングに畳み掛けることで興奮を誘う。序盤を飾る#2「孤独の発明」で心を掴まれると、あとは雄弁なインストに溺れるだけです。

 静謐で雄大な世界観を感じさせる彼等のサウンドは、4人だけで演奏しているという感じがせず、自然という壮大なバックオーケストラと共に奏でる壮大な音のように思えます。ドラマティックかつダイナミックなインストの決定盤。1冊の小説のように深く、1枚の絵画のような芸術性を持ち合わせている超衝撃的な作品。それは2020年代に入っても全く色褪せない輝きを放っている。

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