四半世紀を経た世界観の凝縮 BUCK-TICK『或いはアナーキー』

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 日本ロック界の重鎮の約1年9カ月ぶりとなる17枚目。2014年リリース。”シュルレアリスム”をテーマに置いて制作されたそうで、四半世紀を生き抜いてきたBUCK-TICKの凄さを改めて感じさせる仕上がり。誰もが完全に意表を突かれる初っ端の#1「DADA DISCO -GJTHBKHTD-」からして異常で、ぶっ壊れたファンクネスとユニークさで見たことも無い宇宙が広がる。一流に予定調和などないと言わんばかりのこの曲からスタートする遊び心と冒険心、常にこのバンドは野心的です。

 端的な印象では近年の流れにある、デジタル色濃いロック作品といえるえしょう。ニューウェイヴ、エレクトロに歌謡性、その他にも大胆な実験精神のもとで様々な要素が煮込まれ、BUCK-TICK印の多様性を持ったロックへと昇華。#1に負けず劣らずこちらもぶっ飛んだセンスを発揮したデジロック#2「宇宙サーカス」、アコギが清涼感をもたらしつつもやたらとグルーヴィで歌メロが薬の様に効く#3「masQue」、どこを切り取ってもBUCK-TICKすぎる#6「メランコリア」と前半だけでもとても濃い内容。

 このバンドがやれば自然とバラエティ豊かな作りなるのかもしれなませんが、無秩序に陥らずに懐の深い作品へと繋げていくのは、やっぱり彼等だからこそ。後半にしても、TRFも松平健も裸足で逃げ出しそうな豪華絢爛サンバで踊り狂わせる#8「SURVIVAL DANCE」、タイトルからは想像もつかない透き通るようなバラードで全てを包み込む#11「世界は闇で満ちている」、鮮やかなポップネスと心地よい疾走感に満たされる#12「ONCE UPON A TIME」と楽曲は粒揃い。その上でどの曲も非常に説得力があります。

 そして、死ぬほど美しい荘厳なバラード#14「形而上 流星」が告げる完璧な終わり。25年を超えてもなお意欲と創造性に溢れ、変化を厭わずに前進を続けて、このような傑作を生み出すんだから、誰も追いつけないわけです。

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