約17年ぶりの復活作 American Football『American Football(LP2)』

 まさかの復活を果たし、約17年ぶりとなる2ndフルアルバムを発表(2016年リリース)。昨年には奇跡の初来日公演がありましたが、作品まで届けてくれるとは。ただ、作品名が1stと一緒のセルフタイトルだから、野村萬斎に「ややこしや」と言われそうですがね。

 発売に伴って前作を聴き直しましたが、時代を感じさせない音楽であるなと改めて感じたものです。アルペジオを中心にゆったりと紡がれる美しい音色、柔らかい歌声。それらがひたすらに蒼くきらめいており、聴いていると田舎の田園風景が広がるかのようです。イントロからグッと引き込まれる#1「Where Are We Now?」から込み上げるものがありますが、本作においても約束されたアメフト節は変わらず。寄り添うような音とのどかな時間の流れ。まあ、前作ほど蒼さを感じはしませんが、Owenの活動も踏まえて円熟した楽曲を届けており、年齢を重ねてきたことがいい枯れ具合につながっています。

 所々でトランペットの登場はあるものの(前作と比べて頻度は減っている)、シンプルに良い歌とメロディを多くの人々の胸に響かせます。一段と切ない哀愁を帯びた#3「Home Is Where the Haunt Is」、クリーンなギターと軽やかなリズムに乗せられる#5「I’ve Been So Lost for So Long」など、熱量の押し売りはせず、力むことなく自然体で。良い言い方ではないかもしれませんが、素朴が最上の味みたいなね。全9曲約38分、17年後も色褪せない音楽として語られるだろう作品です。

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