異常を変幻自在に表現すること。sukekiyo『VITIUM』

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  DIR EN GREYのvoice 京さんを母体とした得体の知れない5人組の1stミニアルバム。昨年にリリースの1stアルバム『IMMORTALIS』から1年も経たずにリリースされること、また海外ツアーの敢行などがこのバンドが決して片手間のバンドではないことの証明ですが、本作も充実の内容です。そもそも9曲で約38分の収録ってミニアルバムの尺ではない気がするのだです、13曲以上の収録じゃないとフルアルバムとして認めない的な決まりがDIR関連にはあるのでしょうか(笑)。

 繊細な筆致で上品に綴る。そして、大胆な手腕で魍魎蠢くような不思議な物語を描き出していくさまは変わらず。『IMMORTALIS』よりも肉体的なグルーヴ感が増して、バンドというのが板についてきたことを伺わせます。ヘヴィなサウンドが妖しい揺さぶりをかける#1「leather field」や奇妙な音絵巻が展開される#2「dunes」と序盤からそれを感じる内容。

 「ツアーを経たことでお互いの関係性を把握しながら制作できたことが大きい」とインタビューで拝見したが、ブルージーな感触やスパニッシュなテイストを散りばめたツインギターが自由度を増し、楽曲の彩度調整を行っている。さらには、sukekiyoならではの和情緒の配合。

 もちろん、京さんの七変化で済まない多彩な声による表現が得体の知れない美醜の根源。その中でも#8「celeste」での歌唱ぶりは見事ですし、#5「雨上がりの優詩」や#9「focus」の歌とメロディが立っている曲が本作での核として存在しています。流麗で美しいサウンドが軸ながらも、背徳の色艶を晒しながら展開するこの2曲は、儚く胸に響く。

 決して枠にはまること無く飛び出し、色々な境界線を曖昧に揺らめきながら、相手を確実に翻弄する音像に仕立てる。聴き易さと変態性の両立、そして、タイトルの”VITIUM = 異常”をこうも変幻自在に魅せるのが刺激的です。得体の知れ無さが一層深まった気のするミニアルバムであり、今後も聴き手の想像を煙に巻きながらより深みへと誘っていきそう。

 初回限定盤に付属のDISC2ではお馴染みとなったコラボレーション楽曲を収録。「雨上がりの優詩」ではToshlさん(X JAPAN)、「focus」では俳優の三上博史さん(マエストロ)と共演し、再び話題になっています。Toshlさんとのコラボでは低音パートを、三上さんとのコラボでは高音パートを歌い上げ、両者の良さを引き上げる京さんの歌の引き出しと柔軟性を感じます。「focus」は余りにも優美でセクシャルな大人のムードが漂いすぎている。さらには、元NINのRenholdërことDanny Lohner、Limp BizkitのWes Borlandのリミックスも収録。

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