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ハードコアが奏でる8つの絶景 envy『Atheist’s Cornea』

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 今や世界からもその存在を認められる日本のハードコア・バンド、約5年ぶりとなる6thフルアルバム(2015年リリース)。前作の『Recitation』はハードコアに回帰している部分もあれど、ポストロック要素が先行して温かみと光属性を強めていました。本作でもはっきりしているのは「繰り返す このエンヴィズム」の円熟研磨。言うなれば、激情系ハードコアとポストロックの錬金ではありますが、これまでの全てを糧にしてコンパクトに結晶化した全8曲44分は、シーンの最前線に立ち続けるハードコアおじさん達の凄みに溢れています。

 まずは、結成から22年を経てもなおハードコア続行中を印象づける#1「Blue Moonlight」~#2「Ignorant Rain at the End of the World」の一気攻めの轟き。初期の『From Here To Eternity』に収録されていてもおかしくない、パンチ力とスピード感には血が騒ぐ人も多いでしょう。何十年か振りに宝刀を抜いた感すらある、この始まりには思わず面喰らいました。そして、これらの疾走ハードコアにベテランの味ともいうべき哀愁が乗ってる辺りに、今の彼等が表現されているように感じます。

 以降は、近年のenvyの真骨頂であるポストロック的な側面の強い重厚さと壮大さを持った楽曲へとシフト。某ガンダムとは全く関係がない#3「Shining Finger」では、SUNNY氏がキーボード・アレンジで参加することでリリカルな側面を強化。また、sgt.の成井さんがストリングスで加勢する#4「Ticking Time and String」では、ズッシリと来る重い轟音シンフォニーからメルヘンチックな世界へと移行。ここ数年、年を追うごとに熟成されてきた詩読やメロディからは、より温かみや日本情緒を感じさせますが、それは特に#5「Footsteps in the Distance」に表れていると思います。

 さらには、現在のenvyが120%凝縮されて美点をフォーカスした#7「Two Isolated Souls」が作品のハイライトといえる輝きを放ち、「暖かい部屋」を超える温かみと希望で満たしていく#8「Your Heart and My Hand 」で締めくくります。

 通して聴いて一番に感じるのは、集大成のような貫禄を備えていること。目新しい要素は無いが、envyのenvyたらしめる要素がとことん磨く。それが結果として、盟友であるBORISが昨年にリリースした『NOISE』同様に、この『Atheist’s Cornea』にてキャリア総括型の逸品を作り上げた印象に繋がっています。まさにハードコアが奏でる8つの絶景。

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