ポストメタルを新たなフェーズへ Mouth Of The Architect『Path of Eight』

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 Runeというバンドが解散し、そのメンバーが中心になって始動したオハイオのポストメタル・バンドによる3年4ヶ月ぶりの5作目(2016年リリース)。クオリティの高い作品を送り出している割に、地位があまり向上していってない気のする彼等、気の毒です。MOTAMOTAスラッジ、虚無のポストメタルという個性の強さを持っているのに。

 それはさておき、本作で明確な変化といえば楽曲のコンパクト化。だいたいが4~5分で最長7分半ほどで全8曲44分。それにお得意の粗暴スラッジメタルを要所で効果的に使います。曲の速度は変わらずにゆったりしていますが、静への重視が感じ取れ、アンビエンスの生業に密教めいた空気が大半を造形。マウスオブジアトモスフィールドみたいなのが広がっているかと。クリーンVoで歌うパートが増え、ギターやキーボードがキレイに表層をなぞります。いつもと変わった導入で緊張感を高める民族音楽風味の#1「Ritual Bell」に始まって、3rdアルバム『Quietly』の雰囲気を思い出させる#2「Fever Dream」や女性ヴォーカルを起用した#3「The Priestess」で前半はその傾向が強い。

 しかし、#4「Sever The Soul」以降にお得意の重音爆撃が効果的に入ってきて、野獣感を増します(メンバーの容姿も相変わらず野獣だ)。メロウなギターと歌のハーモニーで神秘性を感じさせたところから一気にヘヴィに落とし込む#5「Drown The Old」、Mastodonを彷彿とさせるような#7「Fallen Star」とどんどんギアチェンジ。作品全体を通した流れの上手さも際立ち、じっくりと醸成してきたところでラスト#8「Path of Eight」が最後の1分半で猛烈な怒りをぶちまけるごとき壮絶さを表現して終わりを迎えます。

 飲みやすくなったけど、実はアルコール度数は高くなったみたいな効き目はあるかなと感じますね。彼等なりに静と動の新黄金バランスを確立し、スラッジとアンビエンスの両軸を上手く使用。The Oceanにしろ、Russian Circlesにしろ数々のバンドがポストメタルを次なるフェーズに持っていってますが、彼等もそのひとつといえる作品に仕上がったと感じます。

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