音楽、書籍、映画の感想を主に綴っているブログです。

質実剛健のインストゥルメンタル OVUM『Nostalgia』

 2006年に結成され、国内外で活躍する4人組インスト・バンド。2ndフルアルバム『ascension』より約2年4ヶ月ぶりとなる新音源は、全3曲入り約35分のEP。前作にて様式美轟音系インスト・ポストロックをやりきったと感じた模様で、バンドとして新しいカタチを模索したそうです。その後に行われた2014年の欧州ツアーでインスピレーションを得て、”Metal-Oriented Instrumental Rock.”というスタイルに開眼。本作につながっています。

  萌芽として前作の2曲目には、「Never Ending Rainbow」というマスロック調の新機軸がありました。しかしながら、海外ツアーで刺激を受け、急なるマッチョイズムによってここまでアグレッシヴな作風になるとは驚き。始まりとなったVirgin Babylon Recordsのコンピ提供曲「Hell Yeah」はまさに衝撃でした。本作においてもメタル色を帯びたギターリフ、ツインペダルを用いた鋭いリズムと変化は一聴瞭然。その鋼鉄武装は表題曲である#1「Nostalgia」で顕著でしょう。ライヴで既に2度体験(TJLA FEST2015、Caspian来日公演)していますが、とりわけグルーヴの強靭さが以前とは桁違いです。

 楽曲の長さは3曲それぞれ11分、8分、15分とこれまで通りと言えますが、そのプログレッシヴ匠の展開の中では、新たに手にした暴力的なまでの攻撃性を随所に活かしつつ、じっくりと聴かせてくれています。決して攻撃一辺倒に陥らない各々の楽器の繊細な息遣い、バランス感覚は流石であるなと。もちろんOVUMの歴史の上で変化し、成り立った音楽であるから、持ち味の澄み切ったメロディが癒やしにもつながる。15分に及ぶ#3「Bleeding Grace」は、過去のスタイルと現在のスタイルがうまく融合した楽曲という印象を受けますね。

 インストゥルメンタル界隈に新風どころから嵐をもたらす作品として、重要な一枚じゃないかな。こんなのOVUMじゃないとかいう人は少なからずいると思いますが、そんな言葉すらねじ伏せる”強さ”をもったこの『Nostalgia』を僕は大歓迎したいです。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次
閉じる