ascention = 昇天にふさわしい至福と恍惚の時間 OVUM『ascension』

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 国内外で活躍する4人組インスト・バンドの2ndフルアルバム。2010年リリースの『joy to the world. ep』を挟み、フルアルバムとしては約5年半ぶりで、2013年リリース。ミックスはMERMORT sounds filmのHaruhisa Tanaka氏、マスタリングはKASHIWA Daisuke氏がそれぞれ担当しています。

 MONOに続く国産の轟音系インストゥメンタルの新鋭として頭角を現して早5年半。真摯なアプローチゆえの壮大でドラマティックなインストにさらに磨きをかけて、彼等は帰ってきました。オープニングを飾る14分近くにも及ぶ大曲#1「The Prayer Anthem」から、息を呑む劇的な展開と見事なアンサンブルが豊穣な音世界を打ち立てます。

 高らかに幕開けを告げる轟音ギターに昂揚し、何度も転調を挟みながらスケールを大きく広げていく。そして、刹那の静寂から天地を揺るがすほどの轟音へと切り替わってからのラスト2分は、アルバムタイトルである「ascention = 昇天」にふさわしい至福と恍惚の時間を約束してくれます。

 MogwaiやEITS、MONOの系譜にありつつ、繊細でノスタルジックな曲調が目立った前作からすると、一層引き締まった重厚なグルーヴやダイナミズムによって肉体性が増しています。それにマスロック~エモの要素が押し出されていることもポイントですね。初期のLITEを思わせる様な#2「Never Ending Rainbow」は小気味よいテンポでグイグイと引き込んでくれます。

 #3「defection」にしても#6「cause after effect」にしてもそうですが、情緒豊かな中に一捻りも二捻りも加えられたアイデアが冴えていて、決して一本調子に陥らないように練り上げられています。だからこそ、前述の#1や#4「Your Cruel Virginity」のような美しく激しく壮大な楽曲がさらに引き立つのでしょう。

 その中でもゆるやかな変動と共に明媚な風景を力強く奏でていく#7「Stella」から、聴く者全てに肯定の一歩を踏み出させる勇壮なラストトラック#8「Blessing」は、間違いなく本作のハイライト。ノスタルジックな旋律がもたらす安らぎ、そして至福の轟音を浴びる喜び。恍惚の境地へと達する激動美麗のインストゥルメンタル。

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