惚れ惚れとしてしまう耽美な闇 BUCK-TICK『狂った太陽』

 1991年にリリースされた5thフルアルバム。テクノやニューウェイヴ等の要素を取り入れ、ダークかつ芸術性に秀でた音像を創り上げたとして、自身の分岐点となった作品とされている。また、彼等の最高傑作と名高い作品でもある。以前よりもどっしりとした分厚いバンド・サウンドが根幹にあり、立体感や奥行きを与える様に電子音を効果的に重ねながら見事に調和。

 元々はわりと正統派なビートロックだったけど、本作にてBUCK-TICKの暗くシリアスな世界観が出来上がったように思う(この後の作品でそれがより濃く深くなっていくのですが)。ポップな楽曲からマニアックな要素まで鮮やかに表出した多彩な楽曲が収録されているが、ここまで統一されたカラーでまとめあげているのも凄い。

 大空を駆けあがっていくような開放感を持つ#1「スピード」、一転してクールで疾走感に富む#2「MACHINE」、変則的な展開と不思議な中毒性を持つ#3「MY FUNNY VALENTINE」といった序盤の流れ。そこから中盤では12弦ギターの澄んだ美しい音色が幻想的に響く大名曲#6「JUPITER」、櫻井氏が亡き母に捧げた儚くも優しい#7「さくら」といった曲が涙腺を直撃する。「MAD」~「地下室のメロディ」~「太陽ニ殺サレタ」という一線を超えた毒々しい終盤もお見事。

 惚れ惚れとしてしまう耽美な闇。BUCK-TICKの表現力や独自性がなお一層深まった名作であり、入門盤としても推薦されている一枚だ。日本レコード大賞において優秀アルバム賞も受賞。

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