メロディアスな変化を加えて SlipKnoT『Vol. 3: The Subliminal Verses』

 解散の危機を乗り越え、約2年9ヶ月ぶりとなった2004年リリースの3rdアルバム。今回はロス・ロビンソンの元を離れ、新たにスレイヤーなどを手がけるリック・ルーピンにプロデューサーを変更。この新たな出会いが彼等の叙情性にフォーカスを当てて、見事な化学反応を引き起こしています。Stone SourやMurderdollsなどでメンバーが個々にソロ活動を始めた。それもプラスに働いているでしょうが、ここまで多彩・多様な面を持つバンドであったのかという事に、本作を聴いて改めて気付かされます。

 その象徴となるのが#8「Vermilion」。摩訶不思議なイントロから美旋律と切ないヴォーカルが光る曲です。さらに続編となる#11「Vermillion Pt.2」では哀愁のアコースティック・ナンバーとして機能。代表曲のひとつである#4「Duality」も感情豊かに歌い上げるコリィが印象的で、歌ものヘヴィロックとして完成度は高い。Stone Sourでの活動を還元し、スリップノットでもその美声を響かせています。

 一方で十八番の激烈ナンバーは暴風のように吹き荒れる。こちらも空耳アワーに出てくる#2「The Blister Exists」から#3「Three Nil」への進撃、テクニカルなドラムからスタートして中盤のギターソロが強い印象を残す#7「Welcome」、興奮必至の#9「Pulse Of The Maggots」と抜かりはありません。ギターソロの大胆な導入に驚きは大きい。解散危機にもあったバンドが今までにないアイデアを取り入れながら積極的に変化することで、「これから」を強く意識していることが伺えます

 前作『Iowa』は極限のヘヴィネスを轟かせて、ある意味一つの到達点となった作品でした。対しての本作は、リック・ルービンと共に新たなスリップノットの音像を追求し、成果を上げました。確かに発売当初は賛否両論でしたが、こうしてリリースから経ってみると良い変化だったなあと捉えている人が多い気がします。安直にメロディアスになったわけでは決して無い。意義ある変化を遂げ、スリップノットは確かに前進しました。

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