激情に駆られながら訴える 大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』

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TOKYO BLACK HOLE(2016)

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 母になっても強くカッコいい。そう実感する約1年3ヶ月ぶりとなる4thフルアルバム。2015年10月に出産という大きな出来事を経験して帰ってきました。作風は前作を引き継いだ感じで、メジャー志向の絢爛な音が鳴っています(前作ほどの夢KAWAiさは薄め)。曲調はバラエティ豊かで、あまりの妄想女子力と情報量の多さで構成。お馴染みのプロデュース陣には、亀田誠治さんやミトさん、サクライケンタ氏も新たに参加。親交の長い直枝政広さんとは#11「無修正ロマンティック~延長戦~」でデュエットをしてたり。

 かつてのシンプルな弾き語りの方が殺傷力があるというのは確かだと思いますが、本作ではちょっと軽やかで大らかになってます。でも特徴は変わってません。現代用語のデパートの如し言葉の雨。それはその時代の瞬間、瞬間を切り取った印象的なフレーズが飛び交います。#3「生kill the time 4 you,,」にしろ、#5「愛してる.com」にしろ、彼女らしい独特の言語感でインパクトあり。また、かつての昼ドラ並の混沌。イタイと言われてしまうほどにその表現にはエグさや鋭さがあります。

 それらがJ-POPの強度と結びついて、程よさに繋がっているかなと感じるところ。前作はメジャー進出故のあざとさがあったのですが、本作はわりとすっきりしている印象があるんですよね。ファルセット~ウィスパーボイスと豊かになった歌唱法、落ち着いたアレンジが成されているなど要因は多々あるかと。自由奔放な彼女も、アイドル風の彼女も、シンガーソングライター的な彼女も、しっとりとした彼女も本作にて登場。やっぱりなんてったって純度100%絶対大森靖子なんだからという感じでね。

 激情に駆られながら訴える「あたしの有名は君の孤独のためにだけ光るよ」は、まぎれもない強さを持った女性だからこそ歌える一節。大森靖子さんが紡ぎだす言葉の力と感情の力は、世の中と刺し違える覚悟があって、他の人達と比べても抜きん出すぎています。前作よりもしっくりとくる作品であり、#1「TOKYO BLACK HOLE」と#2「マジックミラー」は特に名曲だと思います。#1では田渕ひさ子さん、#10「ドラマチック私生活」では和嶋慎治さんがギターで参加。

 彼女は自分の経験を通して歌にし、いつでも聴き手に問いかけるのです。ドラマチック大森仕立ての楽曲とともに。ありのままをさらけ出すこと、自分を肯定すること、他者に認めてもらうことは本作においても痛切に感じるところです。

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