エモの適切な味付けと自分たちらしさ malegoat『Here and There』

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 東京・八王子のエモ・バンド4人組。国内外を問わない活動で根強い支持を集めるバンドです。こちらは日本エモ中心基地である名古屋のstiff slackから2015年にリリースした2ndアルバム。ざっくりとCap’n JazzやBraidといった先人からの影響を露わに、日本の90’sエモ・リバイバルの急先鋒として活躍する彼等。何曲かは試聴しているが、アルバム通しては本作で初聴き。

 未聴の前作はもっとマスポップ~マスロックの要素が強かったそうだが、本作ではその辺りをソリッドにして、全体的にシンプルで風通しが良くなっている模様(でも、凝った展開は十分にある)。まあ、ワン・ダイレ◯ションが3年で人生が変わるとか言ってたし、これは不思議ではありません。小気味良くスムーズに展開し、しゃがれ気味の声とアルペジオによって昂揚感と哀愁が押し寄せる。冒頭の#1「For a while」から濃厚という感じではないが、90年代秘伝のエモ味で適切に味付けしています。でも、それは懐古的ではなく、自分たちでしっかりと昇華して”今”を突き進む音楽になっている。

 1曲はほぼ2分~3分程度に収められ、全10曲を通しても30分未満と短いランニングタイムながら、サクッと気分を高めるものです。ダラさずに引き締めることで、瑞々しい情感を一滴足りともこぼさずに残さず伝えている印象。また聴いてると、ある種のラフさやインディー感がバンドにプラスに働いているようにも感じます。メガネの大きさとモチモチっとした体型を活かして、推進力を高めるリズム隊の仕事ぶりにも感心。ボクシングでラッシュをかけるような#3「The Lost Wreck」や#10「Living」の勢いは、特に最高ですね。攻めの手が多い中で、ゆったりとした#7「Many Answers」では余裕の給油も見せます。

 派手である必要はない。背伸びする必要はない。等身大のエモーションとメロディがあれば人々の心を満たし、愛着がわく作品となる。本作はそれを伝えてくれます。そんな彼等が、TopshelfやCount Your Lucky Starsといったレーベルに一目置かれるのも頷けます。

 ヴォーカル/ギターの佐藤さんはSenseless Recordsの運営、ベースの岸野さんは海外バンドの招聘とバンド活動以外も音楽へ貢献しています。ドラムの川北さんは、かの有名なマキシマムな姉弟の弟だったりします。

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