ドゥーム新世代 Pallbearer『Foundations of Burden』

 アメリカの哀愁ドゥーム・バンド。2012年に発表した1stアルバム『Sorrow and Extinction』がPitchforkのメタル部門で1位に輝いたことで、ドゥーム・メタル界隈を超えて話題となる。「世界よ、これが次世代DOOM METALだ!」と涅槃の片隅でひっそりと宣言する、ポールベアラーの2年ぶりとなる2ndフルアルバム(2014年リリース)。プロデュース/エンジニアには、かのビリー・アンダーソンを起用。この2ndアルバムでドゥーム天下統一を成し遂げようとしている・・・多分。

 本作もまたPitchforkにて8.6の高得点でBest New Musicに選出されていたが、聴いているとドゥーム・メタルという様式を守りながらも、哀愁たっぷりに聴かせてくれる組立の妙に驚かされる。楽曲は基本的に10分を目安にした曲が大半(本作でも6曲中4曲が10分超え)なのだが、Black SabbathやTrouble的な重心の低いサウンドを礎に柔らかなメロウネスを注入したかのよう。

 出足の#1「Worlds Apart」から情け容赦ないヘヴィ地獄に落とし入れるのではなく、ゆるやかな反復と共に酩酊感を産んでいく。ここまでいにしえのロック的な気品やサイケっぽい感触を持つのもこの界隈じゃ稀。ヴォーカルにしても怒気を強めることなく、クリーンヴォイスで淡々と歌っており、そのおかけでソフトな耳辺りの良さを持つ。

 続く#2「Foundations」にしても暗鬱の雰囲気が漂うドゥーム・メタルだが、禁断ともいえる甘美さをも備える。本作の白眉である#4「The Ghost I Used To Be」ではレトロ・サイケと交わり、艶やかさのある重厚なハーモニーがドゥームの今を更新。ラストは#6「Vanished」が12分近くかけて劇的なドラマを奏でていく。一撃のインパクトに力を注ぐのではなく、引きの美学と共に綴る全6曲約55分のドゥーム抒情詩は、こうして完結を迎えるのである。

 作品を通してのまろやかな味わい。それはこのジャンルではなかなか味わえないもの。それ故に正統派HR/HMファンの興味も引くこともある。とはいえ、要所ではドス黒い✝闇✝に取り込まれるような感覚を持つのが味噌。正直なところ、昨年のDeafheaven『Sunbather』のような広がりをみせるとは思えないのだが、現代ヘヴィミュージックのひとつの指針として重要な作品だろう。

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