ヴィジュアル系×マスロック、衝撃の変異。DIMLIM『MISC.』

 突然変異。DIMLIMの約1年8か月ぶりとなる2ndフルアルバム。白状しますと、かつてシングルのMVを見たことはありますが、今時のラウドなヴィジュアル系だなと感じてちゃんと聴いてこなかったバンドです。それが先行曲#5「What’s up?」で認識を思いっきり覆されました。単純に「DIMLIMヤバくね?」と。

 これを機に1stアルバム『CHEDOARA』をしっかりと聴きました。言われている通りにDIR EN GREY以降のV系重低音産業に属すものの、Djentやデスコア要素が瞬間衝撃性を活性化。そこにグロウルやホイッスルボイス、癖が凄いヴィジュアル系歌唱が強烈な存在感を放つ。さらにはボクの自己嫌悪と世への反発を謳う詞、ヘドバン煽動事業の両輪が鈍く黒光っています。

 メンバーが2名脱退しての3人体制となって発表された本作。#1「We’ve changed.NOW IT’S YOUR TURN NEXT」というタイトル通りに高らかな宣言と挑発。音楽としてはまるでBring Me The Horizonのごとき転身です。ラウドロックの剛と重による武装をやめて、CHONを思わせるトロピカルフレーバーの効いたマスロックへの変化。黒からカラフルへ。インサイドにゴリ押しでダンクばっかしてたのが、華麗な3Pシューターになったような驚きがあります。

 グロウルやホイッスルは鳴りを潜め、ヘヴィなサウンドは極限まで削ぎ落す。クリーンを主体に編み上げて淡麗かつ涼感を伴うサウンドへ。随所で顔を出すエレクトロニクスは、煌びやかさよりも冷感に重きを置いた感じで配合され、変化に加担。

 これまでのラウド/メタル路線で培った技術や要素は端々に感じるも(特にドラムで)、テクニカルな演奏の基で質を変えて音に染みついています。曲自体は細かく濃厚な密度と忙しない展開にも関わらず、洗練されたお洒落さと軽やかな聴き心地を両立。

 でも、間違いなく熱量は上がっています。それはヴィジュアル系特有の歌唱に依るところが大きい。癖の強さとハイトーンで過剰に煽動。逆に聴き手にとっては大きなアレルギー要因でもあるのですが、このヴォーカルの存在感こそが他の差別化/異化の一番の理由でもあります。

 サウンドを器用に変化させたのだから、ヴォーカルを薄めて広い間口を確保するという選択肢があった中で、敢えてそうしない。楽器隊の音が引き算されている分、むしろ存在感は際立っています。

 本作で1曲あげるならやはり#5「What’s up?」。構造的な軽量化とカジュアル化もさることながら、手数多くスピード感をもたらすドラム、クリーンとタッピングフレーズの絶妙なコンビで攻めるギター(要するに一番CHONっぽい)、本作一のメッセージと熱のこもった歌。何度聴いても新しさと刺激に満ちている。

 歌詞に関しては、かつてcali≠gariが発表した近代的コスメ唱歌(第6実験室に収録)に近い、自身の変化と変わらないシーンに対しての想いを直接的にぶつけています。

周りに流され自分を持たない者達よ
「変化」を「進化」と呼べない愚かな者達よ
同じところをぐるぐる回ればいいさ くだらないね

※「What’s up」の歌詞より

 背後の雑音は払い除けて、自分たちの信じた変化を、自分たちの新たな流儀を貫いて進んでいく。あまりに大胆ですが、これまで培った要素を変質させながら、度肝を抜く作品を創ってしまいました。変わってしまったという嘆きよりも、遥かに多くの賞賛が本作の良さを物語る。『MISC.』による挑戦はそれほど大きな成果となって表れています。

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