
30歳を越えてから読書量が増え、年間150冊以上は読んでいます。主に小説をメインに、通勤の電車内で読み続ける日々。ただ、2021年に関しては、読む本の比率が変わりました。身体と心境の変化、30代中盤という年齢、コロナ禍。「これまでの人生、これからの人生」を今一度、立ち止まってじっくり考えることが多い日々を過ごしています。
これまでは小説9割、他ジャンル1割ぐらいだったのが、今年は自己啓発&ビジネス系8割、小説2割という逆転現象が起こる結果に。小説は、物語を得ることで自分の心の豊かさへの増強、多様性への理解という感じがあります。自己啓発系は生きる手引きみたいなのが学べるという感じがしてますね。半々ぐらいの割合で昔から読んできた方が良かったという思いがあります。
読書の新たな試みとして、先月のamazonプライムデーにてkindle paperwhiteを購入。ずっと紙媒体で読んできましたが、電子書籍にしてどうなのか。そういった比較記事も後ほど書こうとは思っています。とはいえ全部が全部、電子書籍で読むわけではありませんけどね。
今回は、2021年上半期に読んで良かった本13冊となります。ビブリアという読書管理アプリで読了本を記録してるのですが、6月終了時点で94冊読んでいました。その中からの13冊です。刊行年は気にせず、選出しておりますが、新しめの作品から優先的には選んでいます。割合としては小説とビジネス系が半々ぐらい。ちなみに漫画はほとんど読んでません。読書はハードルの高い行為になりつつありますが、必要なことだと思っています。
みなさんの参考になれば幸いです。
両@リベ大学長『お金の大学』

2021年7月現在、50万部を超える大ベストセラーであり、YouTubeの登録者数も130万人超え。両学長の動画を見始めたのが、2021年に入ってから。本著を読んだのは4月。ほぼ毎日、動画を観ているのでだいたいの内容は頭に入っていたとはいえ、お金に困らない「5つの力」をどう鍛えていくかを改めて考えさせます。YouTubeでの初歩的な動画をまとめたものとなっており、イラストをふんだんに使ってわかりやすい内容です。
主には固定費の削減、支出の最適化がメインですね。学長のいう5つの力のうち、貯める力が重視された内容です。他にも金融・法律関係で学べることが多い。1万円を新たに稼ぐよりも、1万円の出費を減らす方が楽。
わたしも本著で学び、支出を改めて見直しました。格安SIM移行を始め、買い物の回数を減らす、モノを減らす等、最適化するためにはどうすればいいのかを実践し、今もなお試行錯誤しております。固定費削減は家賃以外は概ね減らすことに成功しています。
あとはやっぱり“行動することの大切さ”。それはどの自己啓発本にも書かれてはいますが、両学長はあの声質だからかパワーが湧きます。とりあえず一家まるごと学ぶ必要があると思える書籍。
グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』

今さら読んだの?ってぐらい有名な書籍。上記で挙げた両学長の動画でオススメされていた書籍です。
現代社会はそもそもの選択肢が多すぎる。その中で選択肢を減らす、引き算の美学。端的にいうと、やることの断捨離。他の誰かで代わりが効くものではなく、自分のやるべき大事なことに集中する。当たり前なんですけど、その考えを実践する。
自分の場合はとにかく、やらないことを決めましたし、モノを売ったり処分したり、入ってくる情報を減らしたり、家事を極力しなうようにしたり。ミニマリスト的な生活・思考に通ずるものだとは思いますが、「他人に振り回されず、自分で選択した人生にする」その結論に至るのではないでしょうか。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』

所有してる人はほぼスマホ脳ではないでしょうか。某アイドルの曲で歌われたように電車乗れば、スマホ図書館だし、道歩く人もスマホを目印にして歩いているかのよう。スクリーンタイムに圧迫される時間、行動。奪われる集中力。疲弊する精神。神経の何かしらが失われていってるような。
スマホはある意味で怪物であり、ドラッグのようなものです。それでも手放せないものであり、ライフライン。最適な距離の取り方・向き合い方とは? 現代人必読と言われるのもうなずける一冊。

イ・ミンギュ『後回しにしない技術』

3月末にブックオフでたまたま見つけて購入。『意識』の面を大きく変えられた一冊となりました。「先延ばしの神は誰にでもやってくる」中で、”今でしょ”は、現在でも通ずるマジカルワードです。即行動していくことの重要性。
「1日15分だけでも10年後のために使う」「毎日、1%だけ昨日と違うことをする」などの提言も。でも技術というよりは、考え方の本だと思いますけど(笑)。
尾石晴(ワーママはる)『ライフシフト習慣術』

ワーママという単語はあまり使いたくない派ではありますが、著者の作品はお世話になっております。『やめる時間術』を読み、興味深い内容だったので最新作も手に取りました。
両著共に「自分にとっての24時間を再構築する」というテーマがあると思います。本著は「やめる時間術」よりもこれからの生き方を考える内容で、複数の職業人生を歩むこと、無形資産のつくり方、習慣形成方法など。
それらがひいては、“人生を主体的に生きる方法”に繋がっていく。性別、年代問わずに活用できる知識と実践法がある一冊だと思います。
黒田悠介『ライフピボット』

ライフシフトがあってライフピボットがある。人の一生が延びたことで人生のルールが変わった。それと関わる世の中/世界も爆速変化を続けている。どれだけ凄まじいスピードになっているかというと以下の通り。
・5000万人のユーザーを獲得するまで
飛行機68年/車62年/電話50年/電気46年/クレジットカード28年/テレビ22年/コンピュータ14年/携帯12年/インターネット7年/YouTube4年/Twitter2年/ポケモンGO19日
キャリアプランなんか意味をもたなくなりつつある中、主に仕事関係でこれからどう生きていくか、そのヒントを与えてくれる本です。ピボットとはバスケ用語なんですけど、軸脚はしっかりと残して、もう片方の足は色々なことに対処できるように備える。
経験による「蓄積」と「偶然」がキャリアの転換につながる、それがライフピボットだと著者は説く。生き方に迷いがある今、読めて良かった一冊。
ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO』

「富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するため」を目的とした本著。経験への支出と貯蓄のバランスを各年代ごとに最適化しながら、良い人生を歩むためにはどうしたらよいかを説く。“人生は経験の合計である”というのはその通りであるが、読みながら自分の人生を回顧し、憂う。時間は戻ってこないことをさらに憂う。
若い頃に無理して貯蓄はするが、その貯蓄に回したお金を使っていれば、一体どれだけ価値のある経験ができただろうか。記憶の配当や複利が高くなる若い時にこそ経験せよ、と著者は言う。
昨今のFIREムーブメント(残りの人生に必要な経済的独立を早期に達成して退職し、余生を過ごす)に対しての提言でもある一冊。「ゼロで死ね」は、”所持金を使い切って死にましょう”ってことです。
尹雄大『さよなら男社会』
子どものころから女性っぽい、女々しいと言われていた著者。ゆえにジェンダーに対する認識が幼いころから身についていたそうだが、日本における男性性の獲得・形成、未だにその牙城を崩すのが容易ではない男社会についての考察が主だったところ。
軽んじられる女性への理解については当然、書かれておりますが、男性にしたってその男社会に苦しめられている現状を丁寧に言葉で示している。ここ1、2年はジェンダーを意識した作品を結構読んだり、観たりしているが、本作は男女問わずに射程が広い。それこそ性別や国境を越えて個人として見る、接することの重要性を説く。
松田青子『持続可能な魂の利用』

こちらの方が刊行早いですが、上の『さよなら男社会』にも通ずる作品。おじさんとおじさん社会は蔓延しているし、時代が移り変わる中でも変わらないところは変わらない。これは本当に変わらない。男の私でも生きにくさを感じる部分が多々あるので、女性の方からしたらもっともっとだろう。
セクハラ被害を訴えたら、逆に退職に追い込まれたアラサーの派遣社員女性を視点に、違和感を描き出し、勇気をもって立ち向かう。それでも彼女自身はある女性アイドルにハマっていたりもする。本作はとても面白くて一気に読み切りましたね。
マルク・デュガン『透明性』
『透明性』とは、訳者あとがきによると情報が透明であるということで、一人の人間について外に知られてないことは何もないという意味。2068年という時空まで先にいった世界を描く。その頃には、某検索大手企業に一個人の行動のひとつひとつが完全把握されている。何一つ隠せることはない状況。
ひとりひとりの資産は丸裸だし(これは既にか)、健康と心理も把握される。そして誰と交際したか、性行為に及んだかまでが全てがデータ化。筒抜け・透明化されることで逆にできあがってしまうユートピア。完全監視社会。人間はそこに慣れ、何の疑いもなく暮らしていく。
2060年代にはなっているけれども、2030年には既にそんな世界になっている気がしないでもない。そして、本著は人をデータ化することで、データを他の身体に移植することで不老不死を実現するとさえ書いています。先日に観た『Arc アーク』では肉体の不老不死を描いていたので、別の発想。
朝井リョウ『正欲』
傲慢な他者理解、正しさ・常識の範疇への押し込み、勝手な不可侵領域への侵入。人間は、他者は決してわからない。終盤の切れ味は流石としか言いようがないし、今回もズバッと斬られます。作家生活10周年記念、白版『スター』に続く、黒版がこちらです。多様性をこういう切り口で攻めるかと感心します。
乗代雄介『旅する練習』

2021年に入って読んだ小説の中で新型コロナウイルスが登場したのは本作で2冊目。塩田武士さんの『デルタの羊』の中でチラッと出てくる(といってもあの小説は2020年より先に進む内容であったが)。新感染症によって生活が加速度的に蝕まれる2020年3月、何気ない旅路の中で直面する学校や図書館の一時閉鎖。そして、Jリーグの延期。
その中で回数を刻むリフティングと奥ゆかしさを覚える風景描写が染みる。亜美(これが”アビ”と読むんだな)と私の軽やかな会話劇になんだかホッとする。旅路の中でめぐりあう大学卒業を控えた女性・みどりが直面する現実に辛さを覚える。でも、こんなことが起こってしまった人生なんだけど、終着駅のカシマスタジアムを経てそれぞれの新しい旅路が始まっていく。
ささやかな時と風景を描く、そのかけがえのなさを味わう一方で終わりの唐突感に驚いてしまう。それでも惹かれる一冊です。
岸政彦&柴崎友香『大阪』
社会学者としても小説家としても実力を発揮する岸政彦さん。芥川賞作家である柴崎友香さんの共著。大阪に縁がある人もそうでない人も、本著を通して自分が見てきた風景や街を想い、自分を思い返すことができる。そんな一冊です。上半期に読んだ中では1位にあげたい一冊。詳しくは下記の記事にて。
上記には挙げませんでしたが、2021年に読んで自分にすごく刺さるフレーズがあったのが、森博嗣先生の以下の新書。今年になって4冊ほど読みましたが(以前にも新書は数冊読んでて、ミステリーの方もそこそこ読んでます)、これが一番来ましたね。

”原因自分論“というのがありますが、本当にそうだなあと実感しております。”面白いとは他人が与えてくれるものではない、自分次第だ”と反省して最近は生きております。
以上で終わりたいと思います。2021年下半期は新たに手に入れたkindle paperwhiteと紙の本を併用しながらまた読書をしていきます。