
Matthew Rochford(Vo,Gt)を中心にして結成された実験的ポストロック・グループ。イングランド南西部のデヴォン州にあるトットネスを拠点に2018年から始動。当初はMatthewのソロプロジェクトだったようですが、現在は彼を含むコアメンバー5人を擁する。ちなみにプロジェクト名は“The Mountain of Abrasive Trees”という仏教の話からきているそう(参照:God is in the TVやMUSOMUSOのインタビュー)。
本記事は2026年5月にリリースされた1stアルバム『Light Remaining』について書いています。
作品紹介
Light Remaining(2026)

1stアルバム。全6曲約40分収録。イタリアのドゥーム/ストーナー系レーベル、Argonauta Recordsからのリリース。これまでの8年間の活動でEPを4~5作ほど発表していますが、フルアルバムは初です。
”For fans of Swans, Godspeed You! Black Emperor, Slint”とリリースインフォに書かれていますが、Abrasive Treesは実験的ポストロック、エクスペリメンタルといった形容をされるバンド。煌めいたギターの音色が事あるごとに用いられてますが、沈んだ気分になる仄暗さが全体を覆っています。確かにGY!BEに通ずる部分はあるのですが、多種楽器を使用しないA Swarm of the Sun的に感じたりもする。
God is in the TVのインタビューでは”人々の感情表現を導き、自分の気持ちと向き合い、最終的には気持ちが落ち着くように手助けする。そんな音楽を目指している“と語ります。冒頭を飾る#1「No Solace」から受容的な態度が設定されるような曲であり、呪文を唱えるようにぼそぼそと声を被せながら暗いムードを紡ぐ。続く#2「Star Sapphire」や#3「Tao to Earth」からは”ポストロック meets 4AD”的な感触もあり。作品自体は過度に重苦しいものではなく。むしろクリーンなギターを中心にしていて切ない揺らぎ、陶酔を覚える時間もある。
一方で不気味さが常に忍び寄っており、密教という言葉が当てはまる類の音楽には感じます。#4「Flickering Flame」と#5「Carved Skull」はそれが顕著であり、東洋的な雰囲気やドローンメタルの要素も浮かび上がる。中心人物であるMatthew Rochfordの祖先がインド人だということも関係しているとは思いますが(参照:CRASH MAGAZINEのインタビュー)、ルーツが自然と反映されることで独特な音楽に昇華しています。
ちなみに本作をフィジカルかBandcampで購入するとボーナストラックの#7「Megadrone」が収録。ピアノを活かした美しいポストロック調とは裏腹に、朴訥とした語りが乗っており、光と影の要素を巧みに操る楽曲となっています。
