
2015年から活動しているスクリーモ/Skramz 3人組。Gus Caldwell(Vo,Ba)、Brian Russo(Gt)、John Crogan(Dr)から成る。アメリカ・バージニア州リッチモンドを拠点に活動しており、元々は3人が高校生だった2008年に始めたKilgore Trout(こちらは5人組だった模様)というバンドが前身です。その後に2人メンバーが脱退したことで2015年に仕切り直してostracaと新たに名乗り、始動(参照:『Eventualities』の国内盤に付属する3LAによるインタビューより)。
ostracaというバンド名は古代ギリシャの市民が追放投票に用いた陶器の破片、Ostracizeに由来する(参照:Zegema Beach Recordsによる2017年の動画インタビュー13分前後、RVA MAGのインタビュー)。pg.99やCity of Caterpillarの影響下にあるスクリーモ/skramzに、ポストロックやポストメタルといった要素を交えた音楽性が特徴。先述した動画インタビューによるとGus CaldwellはMONOのベーシスト、Tamakiさんに影響を受けたと語っている(動画インタビュー20分辺りから)。
活動10年超の中で通算6作品を発表しており、最新は2026年に発表された5thアルバム『Thread』。2023年の『DISASTER』と2025年の『Eventualities』は3LAから国内盤が発売されています。また2025年6月にはungulates招聘のもとで初来日ツアーを東名阪で敢行。私は名古屋公演に足を運びましたが、3人が出力する音と熱にかなり喰らいました。
本記事は2026年6月にリリースされた5thアルバム『Thread』について書いています。
作品紹介
Thread(2026)

5thアルバム(EPを含めた総数でいうと通算6作目)。全6曲約36分収録。3LAから国内盤が発売されたEP『Eventualities』から約1年ぶりとなるリリースです。
スクリーモ/Skramz由来の音楽を発展させてきて10年超。本作においては過去作(『DISASTER』と『Eventualities』しか聴けてませんが)に比べてもポストロックのブレンド比率が高くなっています。引いてはダイナミクスの振れ幅が大きくなっている。近い感じだとCity of Caterpillarやenvy辺りが浮かびますが、ostracaはそこにエモバイオレンス的な急加速と爆発力を伴います。
序曲#1「Uncollected」からクリーントーンによる優しい幕開けを飾りますが、100秒後には形勢逆転して荒々しいサウンドの応酬。そして、喉ぼとけがいかれちまいそうなGus Caldwell(Vo,Ba)の叫び。中間部からアコースティックギターが主導権を握るも、嵐が襲い掛かってくる時間が再び訪れます。#2「Emisserate」はピアノの助太刀やRespire的なコーラスを得てよりメランコリックな作風に落ち着いたかと思えば、終盤にはその柔和さを蹴散らす激しさが熱狂をもたらしている。
本作においては前述したアコギやピアノが繊細さの担い役として貢献度が高い。ポストロックとSkramzがせめぎ合う#3「Song For November」、中間部に置かれたインストゥルメンタル#4「Ganymede」辺りはそれがより顕著に感じられます。穏やかさと激しさ。対比の美学を重んじる一方で、そこから逸脱する攻撃性は手放していない。#5「Freedom From Pain」では同一人物なのか?と思えるグロウルを始め、ボクシングのラッシュを思わせる強烈さ。終いには”今日は悪い、明日はもっと悪い“と未来への諦めが滲む。
Everything is Noiseのインタビューでは、”私たちはダークで荒々しい傾向のあるスクリーモを好んでいると思う。そして僕たちのサウンドに影響を与えているバンドの多くは、間違いなくポストメタルやポストロックだ。音楽にダイナミクスを強く感じさせることは本当に不可欠だが、それは結成当初から重視してきた点でもある“と自身の音楽について語っている。また同インタビューでは本作の歌詞に大きく影響を与えたのはトマス・リゴッティとエミール・シオランの2人であるとも説明。
本作最長となる8分30秒近いラスト曲#6「Greater Darkness (Something Worse)」は悲観主義が加速する。Amenraにも近い雰囲気とスクリーモ/Skrmazの激しさが結びついていく中、”この地獄はもっと悪いものになるまで続く“と後半に何度も叫び続けます。洗練という表現もあてはまるとはいえ、切実な訴えが続く本作。言葉にしても音にしても痛烈無比。
