
フランスの北西部に位置するブルターニュ地方を拠点に2022年から活動開始した6人組。本記事は2026年5月にリリースされた1stアルバム『What Came From Silence』について書いています。
作品紹介
What Came From Silence(2026)

1stアルバム。全8曲約45分収録。Pelagic Recordsからのリリース。レコーディングはサウンドエンジニアとして従事しているメンバーがいることもあって自身で行い、ミックスはBRUIT ≤のClément Libesが担当している。
”私たちはしばしば、まるで映画のワンシーンのような、心の中に浮かぶイメージや風景、場面から楽曲を制作します。またアルバム全体を通してひとつの連続した作品のように感じられるよう、強弱や雰囲気の変化を巧みに取り入れたかったのです。リスナーが完全に没入し、自身の感情を投影してくれることを意図しています”と作品についてPelagic Recordsのプレスリリースで説明しています。
Hanryはポストロックを基本線に置くバンドですが、同時にエレクトロニカの要素を多分に含んでいるのが特徴です。二大影響元として自身で挙げているのは、MogwaiとExplosions In The Sky。ただし、轟音系というスタイルが強く表れているわけではなく、彼らが残した映画のサントラ寄りの作風で映像を喚起する音楽となっています(Hanry自身も映画音楽に携わりたいという願望があるそう)。そこにBoards of Canadaのようなタッチが入っている印象でしょうか。
冒頭を飾る#1「Noise Drowns Out」からシンセサイザーとギターがゆっくりと変化を施し、抑制と爆発の時間が訪れる。先行シングルのひとつである#2「Aurora」もテクスチャーの変遷とそれに沿うピアノが美しさを引き立てています。#4「Her Crown, Her Empire」はTychoを思い出したり。トリプルギター編成ではありますが、音圧戦争に入っていくものではありません。エレクトロニスと調和を取りながら、その音響は時に厳しく、時に温かく聴き手のもとに届く。加えて、大半の曲が5分前後にまとめられているのも聴きやすい部分です。
特に#5「Remains」は電子音への依存度が高めながらも、煌びやかさと重厚さがせめぎあう迫力のある楽曲へと仕上がっている。ラストを飾る#8「Phantom Rush」は9分を数える唯一の長尺曲(といってもPt1,Pt2と分解すれば4~5分前後にはなる)。pt1で聴かせる壮大なクレッシェンド作法を経て、pt2ではゲスト参加したピアニスト・Mariposaの音色を主体に映画のエンドロールを思わせる締めくくり。
