【アルバム紹介】ハイスイノナサ『動物の身体』、透徹とした美。

 ポストロック~エレクトロニカから現代音楽までを横断するデザイン性に長けたサウンドで魅了する男女混成バンド、ハイスイノナサ。

 バンド名は、背水の陣とNASAを組み合わせた造語より。残響レコードからフルアルバム1枚、ミニアルバム2枚をリリースしています。

 本記事は1stアルバム『動物の身体』について書いています。

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アルバム紹介

街について(2009)

 1stミニアルバム。

メインアーティスト:ハイスイノナサ
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想像と都市の子供(2010)

 2ndミニアルバム。

残響record
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動物の身体(2012)

 

   1stフルアルバム。キーボーディストの脱退を経てのリリースとなりましたが、そういった心配を振り払う見事な作品を造り上げています。

 紹介される通りにミニマルミュージック~ポストロック~現代音楽を巡りながら、独自の美学と高い技術に裏打ちされた楽曲の数々。それが静かに心の内から広がっていく。特徴的なのが変拍子を多用しつつも流麗なアンサンブル、時に慈愛のように時に人工的な感触をもたらす鎌野愛の凛とした歌、そして瑞々しいキーボード。

 それらが絶妙な交錯を成す事で、アイスランドのポストロック的なイメージや透徹とした美を貫いています。空間を鮮やかに捉え、的確に音を配置していく構築/デザイン性の高さもまたバンドの強み。

 ベクトルは静に保たれ、ひんやりとした冷たさも感じるが、無駄がないからこその美と迫力というのを手にしているような感触さえあります。

 特にそれが顕著なのは#3「地下鉄の動態」。絶妙なアンサンブルの元でスリリングに聴き手を楽しませてくれます。

 しかも#4「波の始まり」や#7「モビール」を聴いているとメルヘンチックで温かな包容力を感じるし、#6「logos」ではメタリックなギターをフィーチャしながらも自らの音楽性を上手くミックスさせ、透明感のある叙情性をもたらす。

 全体を通しても実に優雅でエレガント。実力派の証明とも言える見事な作品。

メインアーティスト:ハイスイノナサ
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