envyの4年ぶりとなるフルアルバム『Recitation』の発売に伴ったツアーへ行ってきました。
そんなこんなで25分ぐらい押して、急遽決まったというNICE VIEWがまず登場。ライヴは今年4月の東京でのKAIKOO POPWAVE FESTIVALで見て以来だけど、相変わらずのハードコア高速殴打。無茶苦茶なスピード感をキープしつつ、怒号のようなシャウトと掛け合いヴォーカルを次々とキメていく。
竜巻太郎氏の悶絶ドラムも相変わらずスゲーわーと感心しつつ、激速だけに頼ることない転調を挟んだ複雑な曲構成やサイケデリック・ノイズと10分ぐらい酩酊を誘ったり。ハードコアの範疇を越えた振り幅があるのもNICE VIEWのいいところ。30分間死に物狂いの精神で観客と全力で戦うステージはいつも通りに好感と興奮を覚えました。
envy
20分程のインターバルを挟んでいよいよenvyの登場。あの奥貫薫さんがポエトリーリーディングを担当している新作の「Guidance」をバックにメンバーがステージに姿を現し、そのままアルバムの曲順通りに「Last Hours of Eternity」へ突入していく。寂しげだが温もりのある音色が会場を徐々に徐々に包み込み、溜めたエネルギーが一気に空間に拡散していく轟音が炸裂する。
見るのは、去年8月末に東京のリキッドルームで見たMONOとのイベント”onomonoenvy”以来なんだけど、久々の轟音に体は思わずビクンと反応してしまった。今年はISIS、MOGWAI、MONO、今月頭にKTLとそれぞれの確固たる轟音ってのを感じてるけど、やはりenvyも特別だなあと改めて感じます。深川氏の叫びが乗って炸裂する彼等の音は心の深い部分にまで突き刺さり、揺り動かしていくものがあるから。
そこから間髪入れずに初期のハードコア・ナンバー「左手」でギアチェンジ。ポストメタルって印象が年々強まるenvyだけど、この曲や「さよなら言葉」辺りの激烈なハードコア曲が演奏されると、envyの確固たる核が揺るがずに存在している事を思い知らされる。とはいえ「千の痕」「雨雲走る聖夜」と続くセットからは激しくも優しい、切なくも美しいサウンドスケープが一筋の光となって聴き手に希望を灯す。
本日は新作の曲が半数を占める内容。MONOのような寒々とした轟音を纏いながら疾走する「幸福纏う呼吸」、人間の奥に閉じ込めた感情までもを慈しむかのようなメロディが繊細に鳴らされる「灯と孤独」、前述した奥貫薫さんが出演したPVが制作された「擦り切れた踵と繋いだ手」といった新作からの楽曲はじわりじわりと胸を熱くする。
先に1カ月にも及ぶアメリカツアーがあり、そのことについて「車で10時間走ってライヴして、また10時間走ってライヴして」とMCで語っていました。なかには1800kmの移動もあったらしくかなり過酷でハングリーな生活をしてきたらしい。それゆえ日本でのライヴの気合の心身共に充実しているように感じました。
「狂い記せ」「暖かい部屋」はたまらなかった。「2曲やります」と宣言して始まったアンコールでは一部でLUNA SEAの「TONIGHT」っぽいと言われる「Dreams coming to an end」で切れ味よくぶっ飛ばし、大ラスは問答無用でハードコア名曲認定の「さよなら言葉」で喧騒狂乱。感動的な夜はアンコールで熱狂の夜へ。その様変わりを十二分に味わい、本日は幕を閉じました。
—setlist—
00. 先導(Guidance)
01. 永劫の終焉(Last Hours of Eternity)
02. 左手(Left Hand)
03. 千の痕 (Thousand scars)
04. 雨雲走る聖夜(Rain clouds running in a holy night)
05. 風景(Scene)
06. 幸福纏う呼吸(A breath clad in happiness)
07. 灯と孤独(Light and solitude)
08. 擦り切れた踵と繋いだ手(Worn heels and the hands we hold)
09. 狂い記せ (Go Mad And Mark)
10. 暖かい部屋 (A Warm Room)
11. 終わりゆく夢(Dreams coming to an end)
12. さよなら言葉 (Farwell to words)