イタリア人のGianluca Divirgilioによるソロ・プロジェクト。2006年に始動。自身の音楽を『Music explicitly dreamed = 明確に夢見た音楽』と評し、ポストロック~シューゲイザーの晴れやかさと少々の悲しみを背負う音楽を鳴らす。2009年にProphecy Productionsから1stアルバム『On a Sad Sunny Day』を発表。その後は2012年に2nd『The Enemy Inside』、2021年に3rd『Songs of Shame』をリリースしている。
本記事は1stアルバム『On a Sad Sunny Day』について書いています。
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On a Sad Sunny Day(2009)
1stアルバム。全11曲約73分収録。Fursy Teyssier(Les Discrets)がアートワークを担当。Prophecyからリリースされてますが、ブラックメタル要素はほとんどありません。ポストロック・シューゲイザーを表現の核に据えていて、全体を通して穏やかさと美しさに彩られている。所々ではシガーロスの幽玄性、それにThis Will Destroy Youばりの轟音が花開きます。ジャケットのように淡い光が大地に降り注ぐようなイメージ。Alcestにバリバリ影響を受けた感じですが、豊かな情感が滲むヴォーカルからは歌ものとしての矜持もあり。ミディアムテンポで引っ張りながらドラマティックに磁場を広げて行く様は現在のポストロックと確実にリンクしています。聴いていると安らぐのと同時に解放されていくような気分。宝石のようにきらめく一つ一つのパートが繊細に結晶化され、とても穏やかで優しいサウンドスケープが生まれている。清らかなサウンドにゆったりと浸れる1枚です。
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