アルバム紹介
暴妖(2014)
Cowpersの元メンバーを中心とした6人組の3rdアルバム。編成はツインドラム、ギター、バリトンギター、ベース。重要メンバーの脱退から新メンバーを一気に追加、新生disctortionとしてのスタートを飾る作品となっている。
アートワークは、Drive Like Jehu/Hot SnakesのRick Frobergが担当。
わたしが聴いているのは本作のみですが、とても個性的に感じました。#1の呪術的なパーカッションから、中盤で重量級のリフが轟いた瞬間に完全に持っていかれる。整理されていない混沌、爆音の宴。
音楽的には、サンディエゴ周辺のポストハードコアから、ShellacやUnsane辺りがミックスされている印象。非常に強烈である。スピーカーから極端にブーストされた音が乱舞し、鼓膜を蹂躙。
カオス・エンジンと化すツインドラムを基盤に、とぐろを巻くヘヴィ・グルーヴに体を煽られ、重いリフで執拗に攻める。そして、呪文のような詩を投げかけては、このバンドでしか成し得ない異様空間を作り上げていく。
作品としては、大半で”激”の部分が際立っていますが、90年代エモの流れを持つバンドであることから、メロディックなスパイスも上手く生かされている。そのバランスに長けた#2は、生々しいロックの衝動とメロウさが共存していて、思わず唸ります。
High On Fire辺りのファンにも刺さる豪傑激走ロック#3にしてもかっこいい。儀式ヘヴィロックとしての側面が出た#6も印象的であるし、#7で炸裂し続ける重爆音も衝撃的。
”皆、正しくロックする。そして我々はあくびが止まらない”とは本作品リリース時のレーベル・インフォメーションにある言葉。
それを世間に問いかけるには相当な覚悟が必要ですが、本作はその言葉を突きつけても全く文句のつけようのない、強烈な衝動が詰まっています。