予告では”最初で最後”とされるBotchの日本ツアーへ。今年3度目となる大阪まで見に行きました。2022年に20年ぶりの復活、新曲発表、ライヴ。立て続けに起こる”まさか”に2023年の日本公演が加わるとは。何が起こるかわからない世の中です。
私は一応、メンバー2人は別のバンドで見ています。ベースのブライアン・クック先生はRussian Circlesの来日以来3年半ぶり(SumacやThese Arms Are Snakesでもみてます)。ギターのデイヴ・ヌードソンはMinus The Bearの来日以来15年半ぶり。
解散後のバンドでも名をあげて成功を収めているところを見ると、Botchはやはり実力者たちがそろったバンドだったことを物語ります。
ちなみにPangeaは初めて来ましたが、この日はおそらく90%ぐらいは埋まっているように見えました。1週間前にチケ買ったら整理番号30番台で心配していたら、番号の頭に”A”が着いた先行予約した方々がいて、最終的には90%ぐらい埋まってましたね。
ライブ感想
Palm
オープニングに大阪のハードコア・バンド、Palm。BLACK BREATHの2012年夏の来日ツアー以来の11年ぶりにみました。音源を未だにちゃんと聴いてないですが、そんな引け目を無効化する熱狂に巻き込んでくれます。
可変速自在に暴れ、のたうち、叫ぶ。ブラストビートによる烈風から、空気を断つブレイクダウン、重厚スラッジと繰り出しながら興奮のためにエサをどんどんと撒いてくる。それに呼応して前方の客たちはマイクに群がり叫び、モッシュやダイブも頻発。
ただ、久々にライブで見て強く感じたのはPalmの人間味。「ボッチやでボッチ」とテンションを上げて話したことを始め、MCでこんなフレンドリーに話すバンドだったっけ??とちょっと驚きました。ラストの方で「あと83曲」とか冗談も飛ばしてましたし。
音は瞬発力と切れ味優先でも、バイオレンスな香りよりもフロアとの信頼感から生みだされる熱さが良い。Toshi氏もよくステージを降りて客との近さを体現。
終盤ではベースの方が弦を切ってしまい、ブライアン・クック先生のベースを借りるという出来事もあり。そんな緊張感もある中で、大阪にPalmありを印象付けるライブでしたね。
Botch
Botchは曲がりくねる怪物のようでした。変拍子・不協和音を多用しながらも獰猛に駆り立てるサウンドが幾度となく襲い掛かってくる。音源以上にミドルテンポを実感するんですが(速いパートも多々ありますが)、やたらと耳に絡みつくギターリフの反復、そのタメからの炸裂っぷりが半端ない。
セオリーを崩した変則型であえてのズレやひねりを効かせている分、頭では追いつけない部分があります。そんな複雑さであっても身体を反応させる衝動が備わっていることに凄みを実感しましたね。決して頭でっかちではなくフィジカルに訴えかけてくるんです。
デイヴ・ヌードソン氏の魔術師っぷりもすごくて。狂いを手助けするフレーズが次々と飛び出してくる。「Transitions~」ではエフェクト芸が3分近く続き、「Hutton’s~」ではペグを回しまくってあえてチューニングを狂わせていたり。あまり見られない光景と音が視聴覚から雪崩れ込みます。
ブライアン・クック先生は震動を起こすベースラインに加えて歌っていたのが印象に残る。ドラムのTim氏は曲の変幻自在っぷりを支えてキーボードも兼務。
さらにヴォーカルのDave Verellen氏は巨体なのに軽いフットワークから迫力の叫びを繰り出しながら、フロアで人間神輿を何度か実行。それに加えてMCもあり、彼がBotchのイメージにはなかった”フレンドリーさ”をもたらしていましたね。わたしも前の方でみてたおかげでメンバーとハイタッチしたし。
セットリストはフルアルバム2枚とラストEPからの選曲でそれぞれから5曲または6曲。序盤「John Woo」の畳みかけっぷり、みんなで叫ぶ「OMA」、ラストの「Hives」では名残惜しくも最後の熱狂を生み出していました。
June of 44、Algernon Cadwallader。見ることが叶わなかったバンドたちを2023年は拝むことができています。それは時間がバグったわけじゃない。彼等が再結成を決意した。そして時は伝説をほっとかなかったから。
機会を逃さずにBotchを体感できて心の底から良かったです。でも、最後とは言わずにまた来てほしい。ライヴをみた人々の切実な願いは間違いなくこれでしょう。
Botch setlist
- To Our Friends in the Great White North
- Mondrian Was a Liar
- John Woo
- Spaim
- Japam
- Framce
- Oma
- Thank God for the Worker Bees
- One Twenty Two
- Vietmam
- Transitions from Persona to Object
- Hutton’s Great Heat Engine
—Encore—- - Afghamistam
- C. Thomas Howell as the ‘Soul Man’
- Saint Matthew Returns to the Womb
- Hives