「ヲタイリッシュ・デスポップ」を掲げ、2008年から2018年まで活動した京都の5人組。メタルコアをベースに、アキバ文化をミックスさせた音楽性が特徴である。
BABYMETALとのスプリット・シングルを発表したことでも知られ、アニソンシンガーである鈴木このみとも「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」でコラボレーションを果たしています。
2014年11月に1stフルアルバム『YENIOL』をリリース。本記事は同作について書いています。
アルバム紹介
YENIOL(2014)
1stアルバム。メタルコアやメロデスをベースとした激しいサウンドを主体にピコリーモ、シンセポップを練り込み、ヲタク目線の歌詞という味噌を混ぜあわせて自宅警備員風味アキバ仕立てにするという音楽性で話題。
彼等はBABYMETALとのスプリット作でも知られます。ベビメタちゃんが曲名を「君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You~」に変更してアンサーソングという形でカバー。
キバオブアキバもBABYMETALのデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」を我が物顔でカバーした「キ・バ・オ・ブ☆モーニング(仮)」も豪快で素敵でした。
ようやく発売となるこの1stフルアルバムは、既存曲の再録6曲+新曲5曲で固められています。音楽的には前述したようなもので、激しさとキャッチーさを持ち合わせています。
古き良き王道HR/HMからデスコアやDjentといった素養に、J-POPやアニソンっぽいヒネりを加えたもの。部屋に引きこもって引きこもって制作し続けた精度の高い楽曲が揃っています
まあ、[YENIOL=家におる]から作れた作品だから(笑)。流石に引きこもり目線で「日光は体にいいけど、実は蛍光灯も体にいい」って歌っているだけある。
本作を代表する曲は、やっぱり#1「Animation With You」と会心の新曲となる#2「はかせをめざせ」。いずれもメタルコアをキャッチーに改変しつつも切れ味は抜群。アイデアを詰め込み過ぎでマスコアっぽさもあるが、ポップである正義さも感じさせます。また、グロウルからクリーンヴォイスのバランス感覚も見事。
著名バンドのオマージュと思われる部分も各所に散りばめられていて、#8「全部宇宙が悪い」の冒頭のドラムは鋼鉄神ジューダス・プリーストのあの名曲だし、#9「The Stay-Home Superstar」は曲名もイントロの煽りもマンソンだったり。
メタル育ちだからの隠し切れないメタル愛。素敵やん。タワレコ購入特典のCD-Rに収録されている「ハムラビ法典(再録音Ver)」もどっかで聴いたことのある大仰なイントロから、ヲタデス総爆撃をぶちかます。細部に至るまで聴きどころ満載。
茶化すな!とツッコミは入るかもしれないが、コアな部分を突き詰めながらここまで面白い楽曲に仕上げれるバンドもいないわけで。そんな本作は「ヲタイリッシュ・デスポップ」を浸透させるには十分です。寂しさのつれづれにキーボードを打ち続ける私たちのハートに衝撃を与えてくれる快作。