12年ぶりのツアー最終地点となる7本目の日本武道館公演へ、大きな期待と今日で終わってしまう寂しさを抱えながら、足を運びました。SIAM SHADE自らが “ここで演奏するのにふさわしいバンドになるまで、武道館でのライヴは行わない”とこだわり続けた場所。そして、2002年3月に解散ライヴを行った場所でもある。ロック・バンドの”聖地”であるこの場所に、最初の復活公演だった2007年に続いて6年ぶりに帰ってきました。
”一言いっていいですか。超愛しています。(中略)解散する前は、ここ武道館を目標にやってきたんだけども、ここでの解散ライヴの時は、メンバーの楽屋もバラバラで凄いギクシャクしててね。あれから随分と時間は経ってしまったんだけど、今日は本当の意味で【忘れもの】を取りにきたっていうか。これぞSIAM SHADEというものを見せるから。みんなも6人目のメンバーとして頼むぞ!“
2曲目「IMAGINATION」開けのMCで語った栄喜氏。メンバーにしても、またお客さんにしても今回がラストということで、並々ならぬ気迫が会場を渦巻いていました。セットリストに関していえば、オープニングからラストの「Don’t Tell Lies」まで、先月のZepp DiverCity公演と全く同じ。聖地ゆえの特別な感情あれど、大きなサプライズはなしでしたね。
しかし「今はただ・・・」の冒頭で演奏がストップするめずらしいハプニングがありました。KAZUMAかDAITAのどちらかの責任らしいのだけど、「あれっ?」「えっ?」のどよめきから、笑いと拍手に切り替わった温かい瞬間を微笑ましく思った人も多かったですね。続けて演奏された永遠の名曲「Life」では、今回でまたしばらく生で聴けないのかと思ったら目頭が熱くなったり。
インスト・メドレーでは、さいたまの時のように緑色のレーザーが会場を駆け廻る中、定評のある高い演奏技術が冴え渡る。淳士氏のドラムソロ・コーナーでは、会場をほぼ真っ暗にして光るスティックと光るバスドラによる新しい演出に驚かされたりもした(東京フレンドパークのアトラクションに似てる)。どのメンバーも主役になれるし、5人がひとつのSIAM SHADEになった時のすごさは語りまくってる通りです。
さいたまに続いて、再び火柱の演出が象徴的だった「Shout out」からスタートした後半戦。俺達のとっておきの曲と自負した「LOVESICK~You Don’t Know~」、栄喜氏がいつも以上に煽り叫んだ「PRIDE」、メンバー自身も驚くほどの特効が鳴った「PRAYER」と続きます。
そして、同じ時代を生きることの奇跡、お互いの絆の深さを確かめ合う「Dear…」が涙を誘う。終わりに近づいていく寂しさをこの辺りから覚えながらも、「D.Z.I.」~「GET A LIFE」というハード・チューンの連続で頭を振り、拳を振り上げ、叫ぶ。これぞSIAM SHADEという渾身のサウンドが会場を揺らしたのでした。
アンコールも不動の流れ。12年ぶりの新曲「Still We Go」~「1/3の純情な感情」~「Dreams」と勇気・希望に満ちたメッセージを力強い歌声と演奏にのせて伝えてくれました。”SIAM SHADEは明るく、みんなに希望を与えるバンドでありたい“という想いを語っていましたが、栄喜氏が会場中にマイクを向けることの多かった「Dreams」に特に思いの強さが宿っているように感じられました。
2回目のアンコールでは、KAZUMA氏がAメロを歌いあげたデビュー・シングル「RAIN」から代表曲「Don’t Tell Lies」が無敵の一体感をもたらして完全燃焼。夢のような時間はあっという間に過ぎてしまいました。
最後にDAITAが恒例の挨拶。”ツアー7本、ありがとうございましたー!(中村)新一さんも喜んでいると思います。僕等の想い、みんなの想いが伝わったと思います。 本当にありがとうー!“と述べ、いつもの「蛇ー!」で12年ぶりのツアー最終日は締めくくられました。
—setlist—
SE. LIGHT FOR CLOSED YOUR EYES
01. NO CONTROL
02. IMAGINATION
03. Why not?
04. TIME’S
05. CALLING
06. 素顔のままで
07. Grayish Wing
08. 今はただ…
09. Life
10. Instrumental Songs(Solomon’s seal – Triptych – Virtuoso – 淳士Drum SOLO -Solomon’s seal)
11. Shout Out
12. LOVESICK ~You Don’t Know~
13. PRIDE
14. PRAYER
15. Dear…
16. D.Z.I
17. GET A LIFE
—Encore1—
18. Still We Go
19. 1/3の純情な感情
20. Dreams
—Encore2—
21. RAIN
22. Don’t Tell Lies
ライヴ後に今後の活動に関して何かしらの声明が出ることはありませんでした。でもDAITA氏が去り際に残した”また今度 会いましょう”という言葉は、決してこれで終わりじゃないことを意味する。終演後に流れていたシングル「LOVE」の歌詞の最後に「愛は彼方へ 愛は希望へ続くから」とつづられているが、メンバーの愛、ファンの愛はまた夢の続きへと繋がり、また”ひとつのSIAM SHADE”になれる時が必ず来ると勝手ながら思っている。
だから、その時を信じて、再びこの言葉でこのレポートを締めくくりたい。
蛇!