ISIS、降臨。前年にはフジロックで喝采を浴び、世界的にも「音の粒子までもが見える」というライヴ・パフォーマンスで絶賛されているロック・バンドがついに名古屋に来た。わたしとしても本当にこの日を待っていました。2週間前に買ったにも関わらず整理番号も良く、最前のほぼ真ん中をゲットするという気合の入れよう。のんびりと開演を待ちました
1. Boris
まず登場したのが世界を股にかけて活動している日本の3ピースバンド・Boris。これが初体験でした。昨年リリースされた最新アルバム『PINK』は、全米で2万枚を越える驚異的ヒットを記録。現存する日本のロックバンドの中で最も革命的なバンドとして世界中から注目されている。今日のライブは、ISISの熱烈なオファーから成立したものだそうで。
視界を遮るほどのスモークにまかれながら、銅鑼を鳴らしライブの始まりを告げる。あまりにも壮大な1曲目が終わると、2曲目からはビートが効いたパンチのある曲で一貫しての攻め。そこに女性ギタリストのWATAさんが効果的にフレーズを入れていて好感触。特に3、4曲目にやってた曲は非常に好きだなあと感じましたた。最後は迫力ある轟音で幕を閉じた。
2. These Arms Are Snakes
2番手には、去年のIndependence-Dで来日して話題をさらったThese Arms Are Snakesが再び来日。まあ、自分はよく知らずに観てましたが(笑)。しかし、初っ端からそのパフォーマンスには度肝を抜かれます。ヴォーカルがマイクをくわえて登場するやいなや、1曲目から客席に進入し、フロアで歌ってました。
もちろん、最前で見ていた僕の前を何度か通っていくので、遠慮がちにヴォーカルをタッチしておいたり。サウンドはハードコアを基盤としたうるさい系ながら、英国のKASABIANのようなエレクトロニカ風のアクセントとポストロック調のアクセントが随所にちりばめられていました。
さらに前述したパフォーマンスにも長けておりこれから人気がでるバンドではないだろうかと。ルックスもいいし。ラストに演奏した曲はコスモ的な広がりをみせ、印象深いものであった。
3. ISIS
ラストはもちろん、ISISです。去年発表した新作『In The Absence Of Truth』を引っさげての来日公演である。始まる前は10人ほどしかいなかったが、このときには120~130人ぐらいはいたと思う(それでも少ないけど)。しかし、機材チェンジしてる時にメンバー自身がセッティングしているとは目を疑った。21時ぐらいからライブはスタート。
オープニングは新作からの1曲目「Wrists Of Kings」から。神秘的なイントロと力強いドラミングが生むリフレインは心を浄化し、終盤近くの雄叫びのような音が熱を運んでくる。続く「Not in Rivers, But in Drops」ではイントロのベースソロからして心地よい響きだが、トリプルギターでさらにドラマ性を帯びていく。5分辺りからのドラマティックな展開と轟音の嵐には平伏する。ラストはまた優しく終わるとこが味噌。
「False Light」は、このライヴで初めて聴いた曲でしたが、強烈な叫びが会場を圧倒。途中でマイケル・ギャラガーのギターにアクシデントが発生してましたが、他のメンバーのフォローも見事。少しのインターバルを挟んで「Ducinea」が演奏された。メロディアスなパートがほぼ全面に顔を出すナンバー。途中のギターのソロの入りからの有機的な広がりは美しい。
ようやくの『Panopticon』から「Wills Dissolve」では、イントロから叙情的なもの悲しさが伝わるがラストはやはり全てを飲み込むような轟音がそれらをかき消してくれる。続いたのは新作から聴きたかった「1,000 Shards」。この曲はとにかく美しい。有機的であり、どこか透明感のある曲である。しかし、やはり最後にはこの楽曲の真の姿が飛び出す。
本編のラストはMVも制作された必殺曲「Holy Tears」。糸をつむぐかの如く、丹念に静寂な音を重ね合わせていき・・・最後には会場を飲み込むかのような雄叫び、全てをぶっ壊すように轟音が鳴り響く。アンコールでは前作の名曲「In Fiction」を演奏してくれた。静寂から創り上げていくドラマ、音の粒子の化学反応、最後には嵐のような音に、金縛りにあったかのようになった。グルーヴ、轟音は何よりも美しいものであった。この「In Fiction」における体験がこれからの自分を変えた。
–setlist–
01. Wrists of Kings
02. Not in Rivers, But in Drops
03. False Light
04. Ducinea
05. Wills Dissolve
06. 1,000 Shards
07. Holy Tears
En. In Fiction
というわけで非常に心に残るライブが終了しました。ISISというバンドの凄さ、「音の粒子までもが見える」という口説き文句は伊達ではなかった。たった70分でしたが、今まで見たライヴの中で見たこともないものでした。この時のポストメタル現体験が後の自分を作ることに気づいたのは、それから数年後です。