わたしにとって遅すぎるモグワイ初体験の日でした。静寂と轟音が織り成す音楽は、まさに未体験の領域といえるもの。全身で味わって初めてわかる素晴らしさがここにはありました。
サポート・アクトであるリメンバー・リメンバーのやけに面白い30分のステージが終わってから待つことちょうど30分。20時を少し過ぎた辺りで、ライヴはスタート。去年発売された新作『The Hawk Is Howling』の最終曲「The Precipice」から始まりましたが、トリプルギター、ベース、ドラムが静かに音を重なり合わせていく。極限まで膨れ上がったところで一気に爆発。早くもその音に魅了と興奮を覚える。
『The Hawk Is Howling』は原点回帰ともいわれていますが、静と動の緩やかな押し引きから構築される奥行き深いストーリーが肝でした。轟音に頼ること無く、追求した音世界と表現すべきか。本日はその新作からの楽曲を中心にセットを組んでいたので、美しくドラマティックな広がりをみせる曲が多かった。その中でも「I’m Jim Morrison, I’m Dead」が特に印象的。ピアノの美麗な旋律と淡いギターが導く感動的なクライマックス。ライブにおいても、静と動の絶妙なバランス感覚と美意識に長けた表現の巧みさをこれほどまでにみせつけるとは。
そういった穏やかな側面がやや目立つ中で、随所に盛り込まれた過去の名曲が残すインパクトは大きかった。あの破壊的な轟音を容赦なく浴びせられると、世界が一瞬にして切り替わる。それを全身で浴びれることの歓喜・至福。なぜ人々がモグワイを愛するのか。その答えをようやく身を持って知ることができたのだと思いました。特に「Helicon 1」は素晴らしいというほかない。
アンコールの2曲はまさに衝撃を心身に刻み込む。「Like Herod」の凶暴なノイズ、そして最後の荒れ狂う「Batcat」に打ちのめされたのでした。
— setlist —
01. The Precipice
02. Friend of the Night
03. Ithica 27-9
04. Scotland’s Shame
05. Hunted by a Freak
06. I Love You, I’m Going to Blow Up Your School
07. I Know You Are But What Am I?
08. I’m Jim Morrison, I’m Dead
09. 2 Rights Make 1 Wrong
10. Thank You Space Expert
11. Helicon 1
12. We’re No Here
—encore—
13. Like Herod
14. Batcat