【ライブ感想】2011/01/23 65daysofstatic「Japan tour 2011」@ 名古屋池下CLUB UP SET

 昨年3月の来日ツアー、そして9月頭のMETAMORPHOSEでの公演に続いて、早くも決まった65daysofstaticの再来日公演。しかも今回は東阪だけだったこれまでとは違い、初めて福岡・名古屋・仙台を廻る日本縦断ツアーです。

 名古屋へ全く来なかったのでこれまではフェスでしか縁の無かった彼らの公演が地元で見られる嬉しさを背にして、池下CLUB UP SETへと向かった。客入りは上々で、やっぱり名古屋公演は待ち望まれていただろうし、65dosは既に日本での人気は結構なもんなんだろうと実感しました。

 開演時間の19時からはまず名古屋を拠点に活動する地元バンド、HOT HOT SEXが登場。やや狭いステージに6人という所帯が陣取るとさらに狭く感ます。音楽としては最近の”ロック・ミーツ・クラブ”という感じで、人力のグルーヴィなサウンドに電子音が彩りを添える。そして、ヴォーカルが軽快に英語詩?の歌を乗せていく。

 強調されたベースラインやドラムのかっちりとした演奏など、リズム隊は意外としっかりしてるし、ツインギターの味付けも軽やか。男子版CSSっていうのはある意味ではあたっているかも。破天荒な感じもあるけど、やっぱり踊れるロックというノリが心地よいものでした。

 そして、2番手にKONG。ピエロみたいなメイクに、パンツ一丁で演奏してたベーシストなど人間的に壊れたイメージを持ちました。でも彼等はなんとOceansizeのベーシストとドラマーを中心に結成されたトリオ・バンドである(セットチェンジ中にドラムの人がISISのシャツを着てて思わず同志!と心の中で叫んだりした)。

 風貌を凌駕する印象を残すほど、音楽はさらに凄い。火山が噴火して地表に溢れだしたマグマのような熱を持った轟音の濁流。前のめりのギターで蹴散らし、バッキバキのベースラインと正確無比に打ち込まれる激うまドラムが衝撃を倍加していくこの凄まじさ。

 歌だけは、ちょっと茶目っ気があって緩衝材の役割を果たしている感じですが、狂騒を起こす爆音を威勢よく響かせる。丹念に汲み上げていく織物のようなOceansizeからは想像できないほどのけたたましさ。ひたすらにノイジーで騒擾。全く勢いは衰えることなく、聴き手を圧倒していくステージが目の前で繰り広げられました。ノイズ・パンクとカオティック・ハードコアが融合したような感じがえらくかっこよかった。

 21時ぐらいからトリの65daysofstatic。いやあ、歓声が大きい。名古屋でも待ちわびてたんだなあとちょっぴり感激した。そうこうしているうちにライヴは「Go Complex」からスタート。メンバーが曲が進むにつれて次々と登場していき、クライマックス近くの轟音パートで初っ端の盛り上げをつくる。

 キラキラの電子音に耳を傾けていると、ダイナミックなサウンドが切れ込んでくる「Piano Fights」、みーんなが大好きな名曲「Await Rescue」と続けて場内の熱を一気に高めていく。少しMCを挟んでさらに「Retreat! Retreat!」と初期の名曲を早くも放出。

 けれども今の彼等には、『We Were Exploding Anyway』という新たな傑作からのアッパーな曲が次々と控えています。分かりやすいブレイクを挟みながら視界も心もパッと弾けていく「Crash Tactics」、トリプルの打楽器祭りでテンションあげあげの「Dance Dance Dance」、強烈なビートが力感を増してひたすら牽引する「weak4」と流れは完璧。でもここまでは「Go Complex」が最初に増えたぐらいで、メタモの時と流れはほぼ同じでしたね。

 これ以降は、少し変化の兆しをみせてて新作EPから「Pacify」「PX3」と演奏。こちらではピアノを中心に切ない叙情を織り込んで、バーンと豪快な轟音へと展開していくポストロックらしい表情が見える。『Heavy Skay EP』はアウトテイク集らしいのだが、十分に胸を震わせて熱くさせる曲に仕上がっているし、65dosがこれをやることにも新鮮さを感じました。

 他にもこんな曲もやるんだという所で、3rdより「Failsafe」や1stから「This Cat Is A Landmine」も挟んでいたのがちょっとした驚き。これらの曲も十二分に突き刺さる威力があったのは頼もしい限り。ラストはメタモでもトランシーな快楽で見る者を包んでいった10分超の「Tiger Girl」。無限の荒野を直走る如し、ミニマルでクールな展開は絶品。強烈な昂揚感が体中にわきあがるのでした。

 アンコールは最初にあまり自分の記憶にはない曲が最初で、大ラスが悲壮感漂うピアノの旋律から分厚いサウンドが津波のように押し迫るお馴染みの「Radio Protector」で締め。終わってみれば約90分もがっつりとやってくれてかなり満足度の高いライヴ。

 ギターの音量が低い(加えて全体の音量も下げ目だった)のがマイナス材料であったけど、選曲も含めて十分にいいライヴでした。フェスでしかみたことなかったからフルセット公演はやはり満足感が強い。

—setlist—
01. Go Complex
02. Piano Fights
03. Await Rescue
04. Retreat! Retreat!
05. Crash Tactics
06. Dance Dance Dance
07. Weak4
08. Pacify
09. PX3
10. Failsafe
11. Fix The Sky Like A Little
12. Mountainhead
13. This Cat Is A Landmine
14. Tiger Girl

—Encore—
15. I Swallowed Hard, Like I Understood
16. Radio Protector

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