約3年ぶりとなる新作『All We Love We Leave Behind』を引っさげてハードコアの雄、Covergeが久々の来日公演である。グラインド・コアの重要バンド、Brutal Truthと激闘を繰り広げた前回の来日から早くも3年。見る者全てをぶっ飛ばす壮絶なライヴ、それが再び体験できるのを楽しみに足を運んだ。
Old Man Gloom
まずは、スペシャル・ゲストのOld Man Gloomが登場。何がスペシャルかというと、そのメンバー。ネイト・ニュートン(Converge）、アーロン・ターナー(ex-ISIS）、ケイラブ・スコフィールド(Cave In)、サントス・モンターノ(ZOZOBRA)というボストンのハードコア界を出自に一時代を築きあげてきた面々が揃う。ただ、ケイラブは今回のオセアニア/日本ツアーには同行しておらず、同じCave Inのスティーヴン・ブロズキーが代役を務める。
ライヴは、それぞれが成し得てきた事の大きさや凄みを感じさせるものであった。コンヴァージやケイヴ・イン、アイシスとそれぞれのバンドが持つ要素を所々で感じるのだが、単なる足し算に終わってない。ネイト、アーロン、スティーヴンの3人が猛々しい叫びを浴びせ、スラッジコアの色濃いヘヴィなサウンドが全身にビリビリと伝わってくる。
ハードコア風の瞬発力のある楽曲から、鼓膜を押しつぶすような重厚な楽曲まで容赦なく、この面々が揃えば当然といわんばかりの迫力だ。その中でも、アーロンが客席にギターを委ねたり、スティーヴンがシンバルを叩いたりとラストの曲「Bells Dark Above Our Heads」は、特に混沌としていたように思う。現在までに発表された5作品から満遍なく選出したベストにも近いセットリストで50分弱。この後にコンヴァージが控えているとはいえ、あまりに贅沢なライヴが繰り広げられた。
01. Gift
02. Flood I
03. Branch Breaker
04. Common Species
05. Regain/Rejoin
06. Hot Salvation
07. Jaws of the Lion
08. Skullstorm
09. Sleeping With Snakes
10. Rape Athena
11. To Carry the Flame
12. Zozobra
13. Afraid Of
14. Bells Dark Above Our Heads
Converge
そして、美しき混沌の世界へ。力をじっくりと溜めるようなイントロから一気に弾け、激流が身も心も飲み込んでいく「Heartache」から、Convergeの開演。瞬間瞬間がハイライトとなるような激音を刻み、所狭しとステージを走りまわりながらジェイコブは悲痛な絶叫を繰り返す。続いては「Concubine」、「Dark Horse」という必殺の連撃で怪物はもう手がつけられない状況に。あまりにも激しいサウンドを前にしてフロアの熱気もグングンと上昇し、モッシュやダイヴが自然と巻き起こる。この日も誰にも止められないバンドだった。
90年代から精力的に活動を続け、カオティック・ハードコアというジャンルにおいて『Jane Doe』という金字塔を打ち立てても、なおも自らを超えていく。生々しさにこだわったという新作『All We Love We Leave Behind』も非常に強力で、ライヴでさらなる輝きと衝撃を放っていた。1曲目を飾る「Aimless Arrow」では複雑な展開をスリリングに走り抜けて、衝撃と興奮を約束する。
中盤に披露された表題曲「All We Love We Leave Behind」では、ネイトの重々しいベースからバンド屈指のドラマティックな展開を繰り広げており、終盤でフロントの3人が一斉に叫ぶ場面には思わず胸を打たれてしまった。ただ激しいだけでは獲得できない美しさ、それが彼等にはある。
その後も、気を抜いたらすぐに叩きのめされるような激しい曲が続く。セットリストは、大名盤『Jane Doe』から新作までの5枚からの選曲がメインであったが、「古い曲をやるよ」っていうジェイコブの言葉から、「Locust Reign」の演奏もあって、喜んだ人も多いのではないか。
終盤のMCでは、「残り4曲だ」「10曲やってくれよ！」といった感じのお客さんとのやり取りで場も一瞬だけ和んだが、「Axe to Fall」「Empty on the Inside」「Eagles Become Vultures」の畳み掛けに再びの炎上。『ナゴヤアアアー』と気合いの雄叫びも混じった「The Broken Vow」で獰猛に駆け抜け、ライヴは一旦締めくくられた。
ジェイコブがDaymare Recordingsのボスに対して、設立10周年のお祝いの言葉を送ってから始まったアンコール。祝福のあとで鳴り響いたのは、「First Light」「Last Light」だった。壮絶なライヴの果てに、まるでひとつのストーリーを描ききったかのように感じられた美しいクライマックス。これに思わず僕は拳を握り締め、突き上げた。ハードコアの偉大な希望は、やはりConvergeとともにあるのだ。
01. Heartache
02. Concubine
03. Dark Horse
04. Heartless
05. Aimless Arrow
06. Trespasses
07. Bitter and Then Some
08. All We Love We Leave Behind
09. Sadness Comes Home
10. Locust Reign
11. Glacial Pace
12. Cutter
13. Worms Will Feed/Rats Will Feast
14. Axe to Fall
15. Empty on the Inside
16. Eagles Become Vultures
17. The Broken Vow
18. First Light
19. Last Light