実に約5年半ぶりぐらいにDIR EN GREYのワンマン公演に足を運びました。かつては、ツアーごとに見に行っていたものの、ある時期を境に音源だけを購入するようになってしまっていた自分。作品を出すごとに国内外で巨大な存在になっていくディルを久々に見たいなあという気持ちがだんだん高まっていった中で、半年前のOZZFEST JAPANにおいて世界的なバンドへと飛躍した彼等の今をようやく体感。そして、ワンマン公演でのディルを目撃してみたいと思ってきてみた次第。
今回のツアーは、2DAYS公演が行われる会場で、初日と2日目で大幅にセットリストが変わっており、初日は「冷血なりせば」からスタートして、彼等らしい盛り上がる系の曲からミディアムな聴かせる楽曲までのバランスの良いセット。一方で2日目の方は、「Deity」~「MACABRE」でスタートして「VINUSHKA」や「Dialobos」等を交えた長尺曲で固められた重く濃厚なセット。1日目はわりとこれからもやるだろう曲が多いので、2日目のセトリで来てくれないかなあと期待していたが、まさかそれが現実になるとは・・・。
始まりの「Deity」でゾクゾクとする。中東の女性のようにローブをまとって鉄拳みたいなメイクした京さんが読経のようにロシア語を唱えていく。そして「MACABRE」。リメイクされて16分にまで延びたこのプログレッシヴな大曲は、印象的なドラム・パートからスタートし、ツイン・ギターが繊細なメロディを重ねていく。Dieさんは、アコギを含めて3本のギターを使い分け、妖しく、美しく、ヘヴィにと表情豊かな楽曲を支える。京さんは、ファルセットも含めた美声で「MACABRE」の世界をリードする。そこに艶やかな自然からグロテスクな虫等を含めた映像を加えることで、視/聴覚的にも大いなる刺激を生み出していた。
その後も「mazohyst of decadence」や「Bottom of the death valley」と闇に沈んでいくようなスロウで重い楽曲が続く。この日に演奏した楽曲のほとんどは、アルバムの中で言えば花形のポジションの楽曲では無いにせよ、作品の流れを左右するものや世界観を決定づけるものばかり。「VINUSHKA」では重たいテーマを振り切れた激と美の目まぐるしい展開で壮大に表現しきる。
「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」「鴉」にしても重苦しい空気が一層広がる。精神的な疲労も多いだろうこのセトリを高い集中力で表現していくディルのメンバーに驚かされますあ。その総仕上げとして本編の締めくくりに選ばれたのは「DIABOLOS」。耽美かつ壮重な楽曲は観客との疎通を交わすことで、妖しい色彩と宗教的感触を増しながらさらなるスケールを獲得。「人間を辞めろー」という叫びは、本編のハイライトのひとつでした。
アンコールでは、「OBSCURE」~「DIFFERENT SENSE」~「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」という怒涛の三連撃。会場中もようやくこの時が来た!といった感じで一番の熱気と歓声があがる。濃厚で完璧な本編から解放されたアンコールという対比が見事でした。
本日の公演は音と映像で魅せる芸術性の高いライヴで、DIR EN GREYが徹底して突き詰めた構成にすると、こんなに奥深いものになるのかと思い知らされました。これからもたまには濃厚長尺セトリは体験してみたい。
— setlist —
01. Deity
02. MACABRA
03. mazohyst of decadence
04. Bottom of the death valley
-INWARD SCREAM-
05. Dead tree
06. VINUSHKA
–INWARD SCREAM–
07. THE BLOSSOMING BEELZEBUB
08. 鴉
09. DIABOLOS
—encore—
10. OBSCURE
11. DIFFERENT SENCE
12. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇