【ライブ感想】2017/02/27 Explosions In The Sky『Japan Tour 2017』@ 名古屋クラブクアトロ

 フジロックで2度観たExplosions In The Skyのライヴは、大げさにも”神々しい”という形容を思わず使いたくなるものでした。美しいアルペジオからの轟音への飛翔。シンプルではありますが、長年に渡って練磨し続けてきた彼等のステージは、苗場の大自然をも味方につけて壮大な音楽を奏でたのです。あれほどのライヴはそんなに体験できるものでもなく、自分としても印象深い出来事のひとつとなっています。

 EITSの単独公演は今回が初めて。贅沢過ぎるほど堪能できるものでした。セットリストは東名阪で少しずつ違いましたが、名古屋が自分としては1番いい感じ。Manufの「ニホンゴ、ワカリマセン」という言葉からお笑いアクセル入れてスタートしたものの、すぐに雰囲気は変わります。初っ端の「Yasmin the Light」で美しい音色が会場を満たし、「Catastrophe and the Cure」が大きな歓喜を召喚。EITSのライヴの醍醐味を早くも味あわせてくれます。

 フジロックでも感じたように新作『Wilderness』の曲はかなりのアクセント。ダブルベースで地鳴りのような音を叩きつける「Logic Of A Dream」、カラフルな照明を用いてダンサブルに躍動する「Colors In Space」、さらには「Disintegration Anxiety」。いずれもがEITSのこれまでのカラーを一新するかのようで、縦の変化球だけでなく横の変化球も使えるようになった感あり。轟音系と呼ばれるインスト・バンドを10年を超えて生き残っている人達は、少しずつ音楽的に変化はしていますけど、こうやって違う魅せ方ができるようになってくると余計に強い。

 イントロから本日の最高クラスの歓声が飛び交った「The Birth and Death of the Day」は音を全身で浴びることの幸せを感じ、「Your Hand in Mine」はギターが中心になって刻んでいくストーリーに浸りながら、今この場で彼等のステージを体験できていることを噛みしめる。真摯な姿勢で情熱に溢れた演奏。インストゥルメンタルの起承転結はあれど、根本にそれが根ざしているからこそ引き寄せられるものがあります。

 今宵は2ndアルバムからの選曲も多く、その中でも「With Tired Eyes~」は格別でありました。ラストはもちろん「The Only Moment We Were Alone」。Munafのギターぶっ叩き芸から始まり、一瞬の静寂を迎えてからの再び最大音量がお迎えする世界に突入する。その時は本当に何もかもを忘れて音に酔いしれるだけです。無に還るそんな感覚。音はやがて瞬間的に全て消えて、現実に戻る。「アリガトウゴザイマシタ」のメンバーの声に送られる万雷の拍手は、本日のライヴの素晴らしさを物語っていました。

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セットリスト

01.Yasmin the Light
02.Catastrophe and the Cure
03.Logic of A Dream
04.Greet Death
05.First Breath After Coma
06.The Birth and Death of the Day
07.With Tired Eyes, Tired Minds, Tired Souls, We Slept
08.Colors in Space
09.Your Hand in Mine
10.Disintegration Anxiety
11.The Only Moment We Were Alone

お読みいただきありがとうございました!
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