8年9カ月ぶりのEarthless来日。前回は名古屋公演の日程が合わず、わたしはお隣の岐阜まで見に行きました。その記憶をさかのぼると機材トラブルとか転換時間の長さなどで、Earthlessの演奏途中で帰らざるを得ないぐらいに時間が押しておりました。だからフルでみるのは今回が初です。
時間通りに開演。トップバッターはBLASTING ROD(どんなバンドかはこちらの動画参照)。スリーピースのヘヴィサイケで、見た目が教祖的なVo&Gtのゆらめく歌とギターがルーズに心身を揺さぶる約35分でした。
2番手にはEternal Elysiumの岡崎氏によるヘヴィ・フォーク独演会。約20年前のアメリカツアーで共演したEarthlessにぶっ飛ばされ、2015年1月の初来日ツアー招聘に尽力。
「本当はバンドで出たかった」という発言もありましたし、他2人のメンバーも会場にいたようです。そんな今宵は侘しげなアコギの音色に岡崎氏の歌がやけに沁みたのでした。友情出演以上の縁深い共演。
Earthlessは20時45分ごろにスタート。これまで20年以上を共にしている鉄壁の3人組による演奏は、着地点の見えない旅路が続く。出足は新作の表題曲「Night Parade of One Hundred Demons(百鬼夜行)」でしたが2部構成40分が、ライヴだと約1.5倍に引き伸ばされ60分の宴。
リズム隊はカッチリと進行を刻み、反復をひたすら繰り返す。ベースのマイク・エジントンは公務員のような実直さで低音を出し続けますが、ドラムのマリオ・ルバルカバはパワフルにサウンドの屋台骨を支えていました。あの長尺を狂いなく延々と叩き続ける/弾き続けるのはちょっと尋常じゃないな。
そのリズムの上をアイゼイアのギターは自由自在に走る。進行が決まっている部分はあるとはいえ、アドリブで弾きまくるギターソロは百鬼を召喚するような雰囲気がある。弾いているアイゼイアを見ているとまるで仙人のようで、彼を含め熟練した3人が生み出すヘヴィサイケの渦は脳をとろけさせるには十分過ぎました。
「百鬼夜行」の60分ロングランを終えると、今宵の唯一の短距離走である「Volt Rush」が思いがけないスピード感で一気にラッシュ。次のカバー曲「Cherry Red」では古のロックを下敷きとした渋いサウンドと歌声に、会場はさらにヒートアップ。アンコールはスピード・グルー&シンキの「Stoned Out of My Mind」のカバーで締めくくり。
グルーヴに酔う。サイケに酔う。ひいては音楽で酔う。終わる終わる詐欺のごとく演奏が続くのも彼等の特徴ですが、そのまま終わらない夜でも誰も文句はなかったかと思える公演でした。
セットリスト
- Night Parade of One Hundred Demons (Part 1)
- Night Parade of One Hundred Demons (Part 2)
- Volt Rush
- Cherry Red
- Stoned Out of My Mind