2010年の結成後、名古屋を拠点に地道に活動を続けるインストゥルメンタル・トリオ、パリテキストデストロイ。通称:パリテキ
ベースレスのギター、ピアノ、ドラムという編成で激動のインスト・ロックから全身を揺さぶるダンス・チューンまで自在に操りながら、極彩色の空間を創り上げる。
2011年には「出れんの!?サマソニ!?」で最終選考に残り、SONIC STAGEのオープニング・アクトに大抜擢される等の実績もあって、実力は折り紙つき。
本記事は3rdミニアルバム『twilight』について書いています。
アルバム紹介
twilight(2014)
3rdミニアルバム。わたしはイベントでちょこっと見たことはあるけど、作品を通して聴くのは本作で初めてです。メンバーは90’sヴィジュアル系が好きらしく(ドラムの人のツイッターの紹介には「ラクリマが好きです。」って書いてありますし)、親近感がわきます。
CD帯には、『狂気と繊細のハイブリッドインストゥルメンタル』のキャッチコピーがついているが、その言葉を証明する全6曲約30分。
昨今のインスト~ポストロック・シーンの流れにありながらも、ロックの持つプリミティヴな衝動、都会の夜を思わすようなジャズの気品、ダンスミュージックの持つ快楽、それにハードコアやギターロック、ヴィジュアル系の要素までがグツグツと煮込まれています。
音楽的に同郷のegoistic 4 leavesにも近い感触はある。パリテキの方がハードコアばりの勢いや攻撃性を持ち寄ります。
ラウドからメロディアスまで自由に振る舞うギター、上品な旋律を奏でる裏で打楽器のような機能も果たしている鍵盤、全てをしっかりとコントロールするドラム。その三位一体は、フックに富んだスリリングな展開の数々で器用さやセンスの良さを発揮しつつ、要所要所で破天荒に爆発してみせる。
奥ゆかしいギターとピアノのミニマルな序盤から、4分手前辺りでジェットコースターのような急転直下の激しい展開に持っていかれる#1「アルテマ」、あらゆるジャンルを飲み込みながらテクニカルに進行して艶やかに狂い咲く#2「スパーダ」、彼等流4つ打ちダンス・ロックでフロアを大きく揺らす#3「ルイス」と前半の流れはとにかく強力。
引きの場面でじっくりと洗練されたメロディを聴かせ、さらにポップの種をしっかりとまいているにも関わらず、一旦スイッチ切り替わった後のこの衝動性は彼等の武器だろう。
聖母のような女性コーラスも交えて、光に包まれる様な壮大で優しい讃美歌#6「獅子座」という驚きの締めくくりも、密度濃くまとめられた本作にふさわしい。堂々たる出来栄えの充実したミニアルバム。