2003年に結成されたアメリカ・ペンシルベニア州ランカスター出身の5人組メタルコア・バンド。
”8月は赤く燃ゆる”というバンド名に、破壊力満点のサウンドには血が騒ぐ。2009年に発表された3rdアルバム『Constellations』では、ビルボード24位にチャートインするという快挙を成し遂げます。
これまでの20年におよぶキャリアで10枚のオリジナル・アルバムをリリース。メタルコアという砦を守り続ける重要なバンドのひとつです。
本記事は3rd~4thアルバムの2作品について書いています。
アルバム紹介
Constellations(2009)
3rdアルバム。全12曲約48分収録。”これがビルボード24位の実力だ!”という国内盤帯のコピーに偽りなしの実力者です。
鋭利なギターリフが乱舞し、ナイーブな叙情性をほどよく盛り込み、メタルコアらしいスロウダウンを挟んで楽曲を組み立てています。
このジャンルにふさわしい体裁を保つ一方で、クリーンヴォイスに頼らず勝負するヴォーカル、タイトに引き締まったリズムが血気盛んに盛り上げる。それでいてメロディアスな感性もバランスよく配合され、しなやかな感性も合間に感じられます。
楽曲の方に耳を傾けても先行シングルとなった#11「Meddler」を始めとして、序盤から馬力を上げて全身を鼓舞する#1~#2の流れも最強だし、BTBAMのヴォーカルをゲストに迎えた#7も強力すぎ。
さらには#5や#6のようにポストロック調のインストパートやピアノを取り入れ、繊細さが構成に幅を利かせているのも他のメタルコアバンドにはない魅力。
無骨な中に透明感のあるメロディを広がらせていくのはMisery Signalsを思い出したり。スピーディーかつスリリングな展開を支える緩急の妙も巧みで、後のDjentに通じるものも感じさせます。
2019年には新たにリマスター&リミックスをほどこしたリリース10周年記念盤を発表。
Leveler(2011)
4thアルバム。全12曲約48分収録。パニッシュ・ギターによるフラメンコ的フレーズの導入、クリーントーンの増量などでの静・動のメリハリをよりはっきりさせる攻撃の多様化を実現しつつも、破壊力を維持しています。
疾走感はやや失っていますが、変則的なパートが入ることで緊張感ある展開を繰り広げたり、叙情的なツインギターがこれまで以上にお互いを引き立たせていたりとバンドとしての個性を重んじながらも進化しています。
血を吐くかのような咆哮の連続も貫いているし、一体となれるシンガロンガや細かなブレイクダウン等ももちろんはさみます。メタルコアらしい力強さを感じさせてくれるのが何より好印象。
ABRらしい#1で猛進して、#2では前述のようにフラメンコ調のソロを織り交ぜて新境地を見せ、#4と#5ではブルータリティと叙情がせめぎ合い、クールな静寂パートからエモーショナルなクライマックスを迎える#6までの流れが特に強力。
獰猛にしてメロディアス、それをドラマティックに盛り上げていく様は十分すぎるほどかっこいい。本作も問答無用の攻撃性能を主体に、ファンの期待に応える作品。そう、”これがビルボード11位の実力だ!”と。
2021年にはチューニングの変更や新たにギターソロを加えたりと再録音したリリース10周年記念盤を発表。