
ドイツ・フライブルグを拠点に活動するポストメタル系インスト4人組。2018年から現在のラインナップで活動しており、2022年に1stアルバム『Akarano』、2025年に2ndアルバム『Solfatara』をリリース。こちらの海外サイトのインタビューによると、バンド名のA Ghost in Ragsは“自分たちの人生においてあらゆるものが層状に消え去り、ぼやけていくことを暗示している“とのこと。
本記事は2ndアルバム『Solfatara』について書いています。
作品紹介
Solfatara(2025)

2ndアルバム。全5曲約45分収録。タイトルのSolfatara(ソルファターラ)はイタリア南部、カンパニア州の都市ポッツォーリにある火口のことらしいです。他にも自然にちなんだ曲名をつけているようで#3「Sargasso」= サルガッソ海、#4「Plaine Morte」= プライーネモルテ氷河、#5「Silfra」 = シルフラを指していると思われる(この記述に関しては、作品についてオフィシャルでの説明が全くないので推測です)。
Bandcampのプロフィール欄にて音楽性を説明していますが、”バンドはクラシックなポストロックにパワフルなドゥームパート、ブラックメタルのリフ、スラッジの要素を組み合わせている“とのこと。オープニングを飾る表題曲#1「Solfatara」は、まさにその全部乗せ状態。身動きが取れない音圧に支配される序盤から、地鳴りのごときスラッジと幽静のアンビエンスが起伏をもたらしながら約15分に及ぶ曲を彩っています。
アルバムのリリースライヴで共演するRÝRは音楽的にはかなり近い。シンプルな編成で出力を最大化。ただし、A Ghost in Ragsの方がよりメロディアスであり、澄んだギターの音色を中心に構成した#3「Sargasso」はその傾向が表れている。13分を超す#4「Plaine Morte」にしてもクリーンなスタイルを基本的には押し出していますが、Year of No Lightを思わせるヘヴィなリフが荒れ模様をもたらす辺りに、バンドの姿勢が垣間見えます。
10分を超す長編曲を主体としている点は特徴のひとつ(#2と#3は5分前後ですが、他3曲が10分超え)。また音のダイナミクスに重点は置いていますが、終盤のキメに向かっていく感じではありません。季節が巡るように浮き沈みのある展開を有している。LentoとMONOが悪魔合体したような終盤が衝撃的な#5「Silfra」は特に強力な楽曲であり、時間と心に余裕のあるときに受け止めていただきたいものです。
A Ghost in RagsにしてもRÝRにしてもOmega Massifを先祖にして、ドイツではこの流派が脈々と受け継がれているのは熱い。品のある破壊と創造。