【アルバム紹介】Aoki Yutaka『Lost In Forest』、ギターインスト最終形態

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Lost In Forest(2017)

downyのギタリスト青木裕が初のソロ・アルバムをVirgin Babylon Recordsよりリリース決定! 制作期間10年をかけ、数千トラックのギターで構築した音のミクロコスモス。多くの人々がコンピューターにより似たような音と音像しか出さない現代において誰もいない深い森で蠢くような光と闇を描く圧倒的音像。楽音とノイズの境を超え、すべての音で構築されるオーケストレーション。これはギターインスト最終形態である。ジャケットのイラストは青木裕自身の手によるものである。2017年1月リリース。

 downyのギタリスト、青木裕さんによるソロ作品。10年に及ぶ製作期間を経て完成したそうで、ジャケットも自身で手がけられています。鬱蒼とした森の中をさまよう時間。downyに限らず、こちらでも異様な音をギターで表現されております。例えるならゼンマイじかけのオルゴールや大時計の針の動きみたいな音(#4「Waltz of the Bugs」や#10「Gryphon~」辺り)。

 森もそうですが、古びたお城をベースにしたロシア人形館のような印象を受けます。自身のギター・サウンドをエフェクトで細分化・過剰化を行い、ミクロ単位でつなぎ合わせる。アンビエントやノイズといった表現も暗鬱に聴き手の内側を侵食するようです。

 そして親交のあるMORRIE御大、SUGIZOさん、薫さん(DIR EN GREY)がゲスト参加。MORRIE御大は、妖しく色気のある囁きや美しいファルセットを3曲で添え、薫さんはDIRでも聴かせてない歪んだ音色で暗黒度合いを高める。

 ラストの#14「Shape of Death」におけるSUGIZOさんのヴァイオリンは鎮魂歌のように響く。作品を通して青木裕さんの創造主としての力量、美意識に恐れ入る。と同時にギター芸術の新たな可能性を示した逸作。

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