【アルバム紹介】The Blood of Heroes、インダストリアル・ダンスホール

 JesuのJustin K Broadrickとニューヨークのカリスマ・ベーシスト兼プロデューサーのBill Laswellによるニュープロジェクト。”メタル・ダブステップ”、”インダストリアル・ダンスホール”などとレーベルが評すそのサウンドは、激しい演奏とメカニカルな質感で脅威をもたらす。2010年に1stアルバム『The Blood of Heroes』をリリース。その後にBill Laswellは脱退しましたが、2012年に2ndアルバム『The Waking Nightmare』を発表しました。本記事は1stアルバムについて書いています。

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The Blood of Heroes(2010)

 1stアルバム。全11曲約56分収録。Ohm Resistanceからリリース。

 リリース元は”メタル・ダブステップ”と例えているそうだけど、Jesuばりの分厚いサウンドウォールを形成する中でリズム面が強調。ドラムンベースやダブ・ステップ、それにソウルフルなラガ・ヴォーカルがリズミカルな快感をもたらします。

 ヘヴィなベースラインの蠢きと荒々しいドラミングで捲し立てて轟音ギターが炸裂、さらにはサンプリング音やシンセなどで鉛色の雨を降らせて巧みに空間を色づけ。ジャンルを横断しながら、かなり実験性の高い音楽とリズムを志向しています。

 Godfleshのように音の端々は冷たく尖っている感じはあります。ドゥーム/インダストリアル的な要素が本作には持ち込まれているし、Jesuの鈍色のポップさが覆ってもいる。重々しいリズムとラガ・ヴォーカルで心地よい幕開けを飾る#1、冷たくうねる印象が強い中でドラマティックな起伏すらみせる#2、Jesuばりの神々しい轟音のハーモニーが炸裂する#7、高速ドラムンベースが絶頂へと導く#4、#8などインパクトあり。独自の美学が高い次元で融合しあった見事な作品。

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