
中国・蘭州市を拠点に活動するMMMという人物による、ワンマン・ブラックメタル・プロジェクト。本記事は4thアルバム『New World』について書いています。
作品紹介
New World(2026)

4thアルバム(一応、リリースレーベルの説明がソース)。全6曲約43分収録。最初のフルアルバムではポストブラックメタル、昨年のフルアルバムは実験的ノイズ作だったりと、音楽性に変化を加え続けているソロプロジェクト。本作はBandcampの紹介文に日本のインディー・シーンに影響を受けたとはっきり記述しているのですが、聴いた後すぐに思い浮かんだのは”ヴォーカルなしのVampillia”という印象でした。実際にFor Fans of: heaven in her arms, 明日の叙景, Vampilliaと書かれていたりします。
基本線は、ポストブラックメタルやポストロックを下地にした全編インストゥルメンタル。このソロプロジェクトの根幹を担ってきた激しいドラムとノイズギターが鳴っていますが、闇や負の側面は感じさせず、アクセントの”強”として土台を支えている。その上にキーボード、ストリングス、ホーンセクションが本作における神器として用いられ、華美な演出を施しているのが特徴です。
消滅都市と名付けられた#1「Extinguished City」は高らかに舞うストリングスを主役にドラマティックな上品さを生み、続く#2「Transcendence」ではメインをホーンセクションに移しての情熱ブースト。いつでも琴線に触れまっせ的なアレンジがてんこ盛りであり、起伏豊かな展開と一貫した東アジアの美学が噛み合っています。チラッと聴いた以前までの作品と比べても、聴きやすさが段違い。猛烈であろうと軽やかな聴き心地や懐かしさが宿っているといいますか。
ポストブラックの暴風が吹き荒れる#3「Archon of Anguis」にしてもworld’s end girlfriend的なノスタルジア、スリリングな破壊と創造が繰り広げられます。本作はPest Productionsという中国のブラックメタル・レーベルから発売されていますが、前述したwegのVirgin Babylon Recordsから出ていても不思議ではない感じがする。切なさも激しさも手繰り寄せるストリングスとギターが印象的な#6「New World」を聴き終えた先に待つのは感動か、陶酔か。ただひとつ、魅力的な作品であることは確かです。
ちなみにサブスクにはなく、Bandcampかフィジカルのみとなっています。
