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作品紹介
ender(2008)
1stアルバム。ニュージーランドのインストゥルメンタル5人組のおそらく唯一の作品です。4曲40分超におよぶ轟音の旅路は、身体を震わせる強力な圧と染みわたる様なメロディを配す事で印象深いものになっています。
スラッジの範疇にも接近するヘヴィギターのうねりはPelicanを思わせ、リズムも芯が太くてどっしりとした重量感を楽曲に加味。ミニマルな展開を軸に徐々に積乱雲が晴れていくかのように緩やかに長尺なドラマ(13分を越える曲が2曲で、他も6分と8分強)を紡いでいく。
前述したようにPelicanの初期『Australasia』辺りの荒削りの感触ですが、叙情の味付けの仕方が巧みで、」しっとりとしたメロウな雰囲気を随所に表現。重さを諭すようにメロディアスな工夫が仕掛けられています。
基本は#1や#2のようなアトモスフェリック・スラッジがバンドの根幹のように思いますが、アンビエント・ドローン的な趣が感じられる#3やピアノを効果的に用いた#4といった曲で幅を出している。音が醸し出す幽玄な移ろい、静謐な美しさが感じられるのはポイント。
それも轟音部の威力が機能しているからでこそだし、光を追い求めていくようなドラマティックな展開があればこそ。特に本作では重厚なギターが轟き叫ぶ13分の#2が名曲。Hydra Headと共振しまくりのこのヘヴィなインストは、その手のリスナーからの称賛を得られるはず。
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